yawaraさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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麦秋(1951年製作の映画)

4.8

妙齢の女性の家族や友人との交流と、その交流の中で彼女が人生の節目に至っていく過程とを描く。

夫婦が風船を眺める様子が印象に残った。育てた子はいずれ親元を離れる。これを風船へと重ねて物思いに耽る描写に
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パブリック・エネミーズ(2009年製作の映画)

3.3

実在したカリスマ的強盗の逃走劇を通して、彼の人間としての一面を垣間見る。

ジョニーは堅気に戻る気など一切なく最後まで強盗を続けた。そこに見出せるのは職人にも近いような愚直さか。彼とその仲間に正義があ
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かもめ食堂(2005年製作の映画)

1.3

当事者意識に欠けていて、問題解決を丸投げする店主が幼稚。これを包む作品特有の「自助努力を拒むゆるさ」のようなものがあまり魅力的には映らなかった。少なくとも技術を学ばずにおまじないに頼るような不味いコー>>続きを読む

複製された男(2013年製作の映画)

4.0

妊娠中の不安定な情緒を具象化した物語。

時折パートナーが別人のように見える事を、複製された男が実在するかのように、二組のカップルとして投影する事で描き出す。
SFとして見ていたら「それ違うよ」とやん
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ドリームハウス(2011年製作の映画)

4.0

幸せな生活と殺人事件という相反する性質を持ち、それらが次第にひとつに収束していくシナリオが実に素晴らしい。
多くを語ると核心に触れてしまうので、クライマックスまで全く油断させず、スマートかつ恐ろしく、
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気狂いピエロ(1965年製作の映画)

4.2

つまらない生活に嫌気が差した男が、昔の女に出会い、なし崩し的にあてのない逃避行へとその身を任せていく。

持ち味は絵画にも似たアーティスティックな画面作りと、作品を通しての浮遊感。
男が感じている自ら
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スティーヴン・キング 痩せゆく男(1996年製作の映画)

1.3

プロットの運びやキャラクターの立ち位置がしっかりと構成されているとは云えず、物語そのものも説得力に欠けて感じられた。
呪われる原因が人死にとは云え、その根っこにあるのが性行為というのはもう少しどうにか
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家族ゲーム(1983年製作の映画)

4.1

「お前じゃダメなんだよ」お前が言うか。こちらのセリフである。

一人の家庭教師の目を通して、機能不全に陥った家族の様子を映し出す。

幼児性や不誠実さにはじまり、とにかくキャラクターが歪である。意図せ
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エル・トポ(1970年製作の映画)

4.8

流浪のガンマンが辿る数奇な運命を描く。

なんといっても個性の強いキャラクターや宗教的メタファーで築かれたその世界観が醍醐味。宿敵との哲学じみたやりとり、渡り合いを通してガンマンが悟りにも似た感覚を得
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おとなのけんか(2011年製作の映画)

4.5

子供の暴力行為を起因として話し合いになった二組の夫婦が、さまざまな論争を繰り広げる。

オフビートな会話の気持ちよさがたまらない。論争が加熱していって起こされるヒステリーを非常に客観的に、且つコミカル
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(1954年製作の映画)

1.9

終始キャラクターへ共感と愛着が湧かず、その行動が不可解だった。
「石コロにも価値はある」といった事を語らせる割には物語上に希望のようなものは微塵も感じられず、異様に暗い話。

名作と言われるからには何
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たそがれ清兵衛(2002年製作の映画)

4.1

妻を亡くした貧しい武士の生真面目で不器用な生き方を、さまざまな側面から描き出す。

山田洋次監督の当シリーズを通してみると、リアリティのある絵作り、しっかりとした時代考証によって説得力が非常に高い。
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LOOPER/ルーパー(2012年製作の映画)

4.0

暗殺を請け負う組織に身を置く男が30年後の自分と出会い、彼の企みに巻き込まれていく。

未来の自分を殺すのが彼らにとって当然の仕事となっている設定が面白い。作品内での収束がうまくされている点で完成度が
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ロンゲスト・ヤード(1974年製作の映画)

4.0

落ちこぼれた元プロフットボーラーが囚人チームを立ち上げ、相手は看守チームという不利な条件を持った試合に臨んでいく。

チームの仲間集めやトレーニングによって、かつてのスター選手としての誇りを取り戻して
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隠し剣 鬼の爪(2004年製作の映画)

4.2

下級武士の優しく真っ直ぐな生き方を、様々な出来事を通して綴る。

音響と絵作りに徹底していて、リアリティに優れる。当時の営みが身近に感じられる描写は見事で、散りばめられたユーモアのセンスも手伝い、世界
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浮雲(1955年製作の映画)

3.8

時代に翻弄されたひと組の男女の、馴れ初めから別れを描く。

互いに相手の今後を思いやりつつも自分の気持ちとはなかなか折り合いをつけられない、その複雑な心境を繊細に繊細に表現する。
戦後日本の退廃的な空
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白痴(1951年製作の映画)

3.9

心の傷を持つ戦争帰りの青年が二人の女性と出会い、やがて大きな渦に巻き込まれていく。

主人公である亀田の持つ純朴さは心の病によるのか、それとも生来持ち得た気質なのかはハッキリと描かれず、不思議な魅力に
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アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)

1.4

冒頭の艦隊戦のシーンは見所。
脚本が予定調和すぎて厳しいのと、キャラクターの思考が単調。人間の思考はもっと複雑。

犬王(2021年製作の映画)

4.5

ふたりの異才の運命とも言えるような出会いと、彼らが人々に熱狂を巻き起こしていく様子を描く。

主演両名の、あえて声優でないキャスティングに驚く。あまりにハマっていて、鑑賞後にはこれ以外にあり得ないと言
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Diner ダイナー(2019年製作の映画)

2.0

殺し屋たちのエキセントリックなキャラクターは面白いが、その個性が物語に活かされず、また展開にも乏しいのが残念。
衣装や美術設定などビジュアルは非常によく作り込まれていて美しい。それを活かした冒頭の独白
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ガンズ・アキンボ(2019年製作の映画)

4.0

ネット上で虚勢を張るだけが取り柄の冴えない男が、逃げ場のないデスゲームに巻き込まれていく。

あたま空っぽにさせてくれる愛すべきB級映画。

印象的だったのが、主人公が手に銃を固定され、トイレでの用達
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累 かさね(2018年製作の映画)

2.5

顔が入れ替わるというギミックがどうもうまく生かされていない。テーマとしている劣等感との繋がりがやや浅く、単なる顔を巡る闘争になってしまっている。そこに物足りなさを感じる。

今見ているのはどちらか惑わ
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ゲーム(1997年製作の映画)

4.0

誕生日の祝いとして弟からあるゲームに誘われたひとりの男が、その内容に翻弄される姿を描く。

財産や地位といったものに固執し、疑念によって振り回されてしまう様子に自分の本質を垣間見た気がした。

願わく
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アイデンティティー(2003年製作の映画)

4.2

なし崩し的にひとつのモーテルに集まった人々が、事件に巻き込まれていく。

ありふれたサスペンスとしてミスリードしながら、ひとひねりの効いた構成が見事。事件と並行して進むもうひとつの物語があり、複数のメ
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モンタナの目撃者(2021年製作の映画)

2.4

個々の設定の紐づけが構成として雑で、調理の悪さにお金を払いたくない料理といった印象。
事件にフォーカスするなら解決まで描いて欲しいし、ヒロインの人柄にフォーカスするなら視点をあちこちフラフラしないで欲
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.9

ウルトラマン以前の過程をダイジェストで伝えるシーンが庵野監督ご自身のセルフパロディっぽくて非常に面白かったです。画面を埋めるくらい大きい文字でのテロップが懐かしくて、頭がすぐ庵野作品鑑賞モードに切り替>>続きを読む

まともじゃないのは君も一緒(2020年製作の映画)

3.6

立場の違う男女が奇妙な協力関係を経て、人との関わり方を自分なりに理解していく。

キャラクターが非常によい。成田凌演じる先生の頭でっかちで未成熟で、どこかとぼけた様子がいい。ひとつの学問に打ち込んでい
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東京物語(1953年製作の映画)

4.0

老夫婦のそれぞれ家庭を持った息子たちとのやりとりを通じて人生の縮図を描く。

人物像の豊かさを一貫しており、それぞれのキャラクターの解像度がたいへんに高い。シーンごとにスタンスがはっきりしていてリアル
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CURE キュア(1997年製作の映画)

4.5

奇妙な共通点を持つ複数の殺人事件と、それに関わる人々の様子を描く。

作品内のほとんどのケースで犯行のプロセスが抜け落ちているのが怖い。唯一犯行が見られる警官のケースが妙に落ち着いた様子で描かれるのも
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ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

1.6

予定調和で眠くなってしまった。どうにもうまくないのが数あるゴア描写の無味無臭さ。単調なのと、毎回真面目に描いてしまうために期待感が薄い。
同じようなやりとりを延々と繰り返すのでなく、キャラクターの無軌
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秋刀魚の味(1962年製作の映画)

4.7

妻に先立たれた初老の男性が、人生の節目に至る様子を描く。

どこか幼さを残した男性像がリアルで、彼らのやりとりにすごく温かみがあります。
しこたま飲んで茫然自失となる人も、ゴルフクラブに執着してしまう
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ゴースト・ドッグ(1999年製作の映画)

3.9

ひとりの殺し屋の孤高な生き方を描く。

葉隠を信奉して忠義に生きる姿はまさに侍であり、同時にそういった存在が行き着く先も暗示する。
人の死=思想の死ではなく、思想は交流を通して引き継がれていくといった
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ソウ(2004年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

互いを知らない二人の男が疑心暗鬼に駆られながら、招かれたゲームのクリアを模索していく。

ゲームは残虐性が色濃く、しかしその真意は参加者に過去を振り返らせ、その答えを本人に出させる啓蒙に近いもの。ジョ
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コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)

3.7

しょうもないやりとりをぼんやりと眺める映画。シュールで緩く、序盤は距離感が掴みにくい。気づけばニコニコしている。面白い切り口で、とても新鮮です。

鑑賞した印象は映画を見ているというよりは喫茶店でそれ
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武士の一分(いちぶん)(2006年製作の映画)

4.0

ひとりの武士の苦しみと信念を描く。

不義には対立を貫く生き方は、上司に対しても例外でない。その生き方は不器用でありながら、美学を感じさせる。木村拓哉は最高のキャスティングでなかろうか。愛の物語とは読
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七人の侍(1954年製作の映画)

5.0

侍が貧しい農民のため、自身の利益を度外視した厳しい戦いへ臨んでいく様子を描く。指南書のような一面もあり、学びのある作品。すごいの一言。

長さゆえに気軽に見られる作品とは言い難いですが、日本で作られた
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