CarryThatWさんの映画レビュー・感想・評価

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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.2

並行世界をカンフーで戦い抜くという「マトリックス」的世界観に、ギリギリの笑いとパロディをブチ撒けて、その割にテーマは王道の家族愛。宇宙の存亡がプライベートな問題に収斂する展開は、後悔を抱える中高年の「>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.3

祟り神ゴジラと東宝特撮の原点回帰。かつての海戦映画を現代の技術で再現したようなアクションが素晴らしい。戦争を体験した人々の苦悩に焦点を当てたところも良い。ただ、微妙なオタク的フェティシズムが鼻につくの>>続きを読む

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

3.9

自由な私立学園というユートピアと、ファシズムに侵される社会のギャップが拡大していく様が恐ろしい。それはまた、自由の価値を知る上流インテリ層と、一体化に価値を見出す貧しい大衆との対比でもある(学園外の子>>続きを読む

第七天国(1927年製作の映画)

4.0

第1回アカデミー監督賞受賞のサイレント映画。前半のラブストーリーが見事で、今見てもドラマとして違和感なく、いやあ最高のハッピーエンドだなこれで終わるんだと思ったら全然終わらなかった(笑)。後半は後半で>>続きを読む

福田村事件(2023年製作の映画)

3.8

この題材を取り上げたことは絶賛したいが、映画としてはどうだろう。要らないエピソードが長い。終盤の音楽が変。軍国主義に原因を帰して、大衆の狂気を免罪するような描き方にも違和感がある。素晴らしかったのは水>>続きを読む

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.3

翌日になってもずっと頭から離れないという映画を久々に観た。ただ多くは原作と音楽の力だと思う。最低なのが演奏シーンで時折挟まる3D(ロトスコープ?)のカット。地の絵作りと全く合わず興醒めで、今どきのアニ>>続きを読む

(r)adius ラディウス(2017年製作の映画)

3.6

これまた低予算系の一発アイデアものだが、スリラーとしては割と上品な部類で(人死には出るけど)ケレン味のない抑制的な演出に好感が持てる。メインの登場人物についてはそれぞれに情感が伝わってくるし、エンディ>>続きを読む

ゴジラvsコング(2021年製作の映画)

3.3

コングもゴジラもすぐに登場するので、少し勿体つけて欲しかった。前半の海戦シーンが見事だが、見せ場が多すぎて有難みが薄い。決着のカギを握るクライマックスの展開も「え?」という感じで、お子様向けに単純化し>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.3

ブラックな笑いが中心で、クローン(=ブラジルから来た少年!)とか「紙みたいな新素材」とかネタがいちいち可笑しい。脇役が皆素晴らしくて、友人の太っちょメガネの存在感は絶大だし、重要な役割を果たすナチス将>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.2

序盤のプロットだけでも十分面白いはずなのに、それをかなぐり捨てて予測不能な展開に持っていく監督の狂気(?)が凄まじい。驚くのは、寓話としての作りがジョーダン・ピールの「US アス」と(洋の東西で)完全>>続きを読む

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.2

初代ウルトラマンの魅力だったファンタジー要素が希薄で、表面的なリメイクという印象が拭えない。メフィラス編も、子どもの視点をなくしたことでオリジナルの深みが消えてしまった。特に、ウルトラマンという素材で>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.0

ストーリーは普通に少年ジャンプ。でも、映像の臨場感とスピード感が素晴らしい。ボヘミアン・ラプソディがバンド擬似体験なら、こちらはバスケの擬似体験。実写では嘘くさくなるスーパープレイもアニメだからこそリ>>続きを読む

劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)

3.4

テレビシリーズを楽しめる人なら絶対に見るべき。と言うか、ノリ重視の本編よりもこちらの劇場版の方が完成度は高い気が。さらに言えば、鬼滅の劇場版よりこっちの方が見応えあるのでは(個人的な感想です)。しかし>>続きを読む

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

3.8

何はともあれ、映像が素晴らしい。絶対に3Dの大画面で見るべき。ただ、遠隔操作の「アバター」がほとんど登場しないことでプロットが簡素化され、ストーリーの主軸が家族愛に移った結果、設定が異世界というだけの>>続きを読む

アバター(2009年製作の映画)

4.6

続編を見る前に再視聴。やはり、リアルな身体と接続されたアバター、同胞と敵、地球人と異星人の位置付けが転倒していく展開が絶妙。メタな視点で見れば、遠隔操作の身体で未知の世界を味わう主人公は、劇場で3Dの>>続きを読む

スワンソング(2021年製作の映画)

4.2

施設にいる老いたゲイ男性が施設を抜け出し、変わってしまった街中で過去を振り返る…と書くと暗そうな話に思えるが、そこは同性婚が認められて久しい米国。映画とは言え登場する街の人々が皆優しく温かい。しかし、>>続きを読む

将軍様、あなたのために映画を撮ります(2016年製作の映画)

3.4

映画好きの金正日総書記が2人の韓国人を「連れてこい」と指示。拉致された2人は女優と映画監督で、まさに事実は小説より奇なりといった感じのドキュメンタリー。ただ実際の記録映像に加えて「再現ドラマ」的に映画>>続きを読む

FLEE フリー(2021年製作の映画)

4.1

難民家族の過酷な境遇を描く壮絶なドキュメンタリー。アニメだから映像的にはソフトになっている面もあるが、衝撃的なエピソードの数々にゾッとする。ただ、主人公がゲイであることに関わる部分は意外にも(?)ホッ>>続きを読む

台風のノルダ(2015年製作の映画)

2.0

作画は綺麗。ただ、日本のアニメにありがちなモチーフをつなぎ合わせた印象。「天気の子」との比較で言うならこちらの方が先だが、設定や台詞にツッコミどころが多く見劣りしてしまう。あと、声に若手の役者を当てる>>続きを読む

ジャックは一体何をした?(2017年製作の映画)

3.9

サルのジャックの演技に注目…と言いたいところだが、それ以上に何しろもうデイヴィッド・リンチで。サスペンスフルな会話劇が進行しつつ、クライマックス(?)では存分にリンチ節が炸裂。もう怖がらせたいのか笑わ>>続きを読む

クライマーズ・ハイ(2008年製作の映画)

3.1

日航機事故を題材にした新聞社の内幕もので、事故そのものではなく、マッチョでブラックな職場のドラマが中心。ただ、記者の生死を巡るエピソードなどは、もとの題材が重いだけに軽く見えてしまう。泥臭い社内事情や>>続きを読む

マイアミ・バイス(2006年製作の映画)

2.7

「トーキョー・バイス」の放送前に予習のつもりで鑑賞。アクション映画としては全体にダルい感じで、かと言って文学的とか芸術的というテイストでもなく、誰に向けて何を見せたい映画なのかがちょっと謎。色男のはず>>続きを読む

マトリックス レザレクションズ(2021年製作の映画)

3.8

前代未聞のセルフパロディと、何が妄想で何が現実かわからないディック的な迷宮が進行する前半が面白い。ただ、かつての「マトリックス」のような、耽美と様式美に満ちたSF大作を期待して行くと戸惑うことになる。>>続きを読む

マトリックス レボリューションズ(2003年製作の映画)

3.7

仮想世界のアクションを2作目に詰め込んだせいか、こちらは現実世界のエピソードがメイン。主人公のチート描写も控えめで、その分「マトリックスらしさ」がなく他のSF映画との差が見えづらい。特に、シリーズの最>>続きを読む

マトリックス リローデッド(2003年製作の映画)

4.4

ルミエール兄弟やメリエスの時代から続く、「映像を見せるのが映画だ!」という思想に沿って、やりたいことを全部ブチまけた系の傑作。技術的な面でも1作目よりずっとガッチリと作り込まれていて、「誰もこれを越え>>続きを読む

マトリックス(1999年製作の映画)

4.2

日本の異能系バトルマンガやカンフー映画でよくあるアクション表現を、実写でカッコ良くリアルに見せるという離れ業を、ハリウッドで実現してしまったおそらく最初の作品。そして、時間の表現と主人公のチート能力が>>続きを読む

Re:ゼロから始める異世界生活 氷結の絆(2019年製作の映画)

2.0

TVシリーズの前日談で、物語の謎に関係する話…のはずなのに、何か単調で退屈な印象。ダークな設定に演出や台詞、絵作りが追いついてない感じ。元々が主人公と世界観の対照で成り立つ作品で、ヒロイン(と精霊)だ>>続きを読む

Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow(2018年製作の映画)

3.4

TV第1シーズンの中途に挟まる幕間的な話。作品ファン向けの日常エピソードでどうということもない話だが、なかなか侮れない。お騒がせな主人公のキャラに、テンポの良い演出と軽妙な台詞回しが上手く噛み合って、>>続きを読む

ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒(2019年製作の映画)

3.3

相変わらずストップモーションが超絶で滑らか過ぎ、これならCGでやっても同じなんじゃないかという、一種「過ぎたるは及ばざるが如し」的な感じの残念さ。安心して見られる大人の冒険談&成長物語だが、前作のKU>>続きを読む

ジェヴォーダンの獣(2001年製作の映画)

2.7

観る前に期待したのは、史実を元にした格調高いダーク・ミステリ。でも実際に観たのは、インディ・ジョーンズと地獄先生ぬーべーの筋肉対決。監督の趣味と経歴を知れば「なるほど」と思うが、予備知識がないと面食ら>>続きを読む

アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

4.8

ライブステージの記録映像としては最高傑作と言ってもいいあの『ストップ・メイキング・センス』から36年、その不動の地位をバーン自身が更新しにくるとはいったい誰が予想してただろう、いや私は予想してませんで>>続きを読む

雨に唄えば(1952年製作の映画)

4.5

バックステージものというより「映画を題材にした映画」の名作。バディ役コズモ(ドナルド・オコナー)の超絶パフォーマンスが圧巻で、もうそれだけでも必見。そして、時代の変化に乗れた人と乗れなかった人、映画が>>続きを読む

グエムル -漢江の怪物-(2006年製作の映画)

4.1

B級テイストの怪獣映画だが、風刺メインの作品。逆風に晒される家族の姿は、悲しいはずなのに可笑しく、ホロ苦い。現実の社会問題とそれに巻き込まれた人々の姿がモデルと思われ、拉致事件や後のセウォル号事件、さ>>続きを読む

TENET テネット(2020年製作の映画)

4.5

時間にこだわるノーラン監督が時間SFに挑んだ結果、良くある「時間もの」とは一線を画すコテコテのSF大作が完成(またか)。小説では色々と怪作もあるが(ベイリーの「時間衝突」とか)、映画でここまでやるのは>>続きを読む

インターステラー(2014年製作の映画)

4.4

ハリウッド映画では「2001年」以来ではないかと思える、超本格的な宇宙SF。イベント・ホライズンで展開するドラマは、フレデリック・ポールの「ゲイトウェイ」を彷彿とさせる(実際、参考にしたのでは?)。た>>続きを読む

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

1.8

シスジェンダーの男優が、トランスジェンダーの女性を演じることにはやはり無理がある。重要なシーンで「この人は何でヒゲを脱毛してないの?」と思わせるのは映画として失敗だろう。トランス女性が皆脱毛をしている>>続きを読む

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