グラッデンさんの映画レビュー・感想・評価

グラッデン

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霧の淵(2023年製作の映画)

4.2

奈良の山々に囲まれた小さな集落に暮らす少女と、彼女を取り巻く環境の【変化】を描いた物語。

脚本・監督を務めた村瀬大智氏は初商業作品とのこと。エグゼクティブプロデューサー・河瀬直美監督の作風を彷彿とさ
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プリシラ(2023年製作の映画)

4.2

ソフィア・コッポラ監督の最新作。エルヴィス・プレスリーの元妻・プリシラの足跡を追った物語。

スターに見初められた14歳の【少女】が、大人の階段を駆け上がり、やがて自立した【女性】に成長する過程を描く
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.3

子供時代に相思相愛だった男女の再会を描く物語。ジャンルとしては「恋愛映画」が妥当だと思われるが、厳密に言えば2人は一度も恋愛関係になっていない。

異なる環境・価値観で大人になった2人の再会は、自然と
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アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.3

『鉄の爪』の代名詞でアメリカマット界を席巻したフォン・エリック一族を描いた実話に基づく物語。

本作の感想を書く前に、物語の舞台となっている1970-80年代のプロレス界について簡単に整理しておきたい
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.4

米国の原爆開発に携わった物理学者・オッペンハイマー博士の【慧眼】と【盲目】で歩んだ足跡を描く。

「IMAXの申し子」クリストファー・ノーラン監督ならではの表現力、映画館というアートフォームだからこそ
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コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー(2022年製作の映画)

4.2

人口中絶手術が違法だった1960年代のアメリカにおいて、秘密の電話番号を通じて手術を請け負っていた女性たちの連帯を描く実話に基づく物語。

女性たちが運営する団体が提供する秘密の手術は高額だ。主人公も
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.8

Amazon Prime Videoで視聴。本年度のアカデミー賞において作品賞を含めた5部門にノミネートながら日本では劇場未公開の作品。面白くも、非常に考えさせられる物語だった。

売れない小説家の主
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雪山の絆(2023年製作の映画)

4.0

1972年10月、ウルグアイのラグビーチームと関係者を乗せたチャーター機がアンデス山脈に墜落する事故が発生。雪山で救助を待つ生存者たちの2ヶ月以上の過酷なサバイバルを描いた実話に基づく物語。

装備を
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.4

雪山の山荘で落下死した男性の死因を巡る裁判を描く物語。

自殺か?他殺か?を判断する証拠がほぼ無い中、死んだ男性と妻の行き詰まった関係性が明らかになる。この情報で法廷は【主観的主張】と【客観的結論】に
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ネクスト・ゴール・ウィンズ(2023年製作の映画)

4.0

日韓W杯予選で「31-0」敗戦する等、FIFAランク最下位にいた米国領サモア代表チームがアメリカから来た新監督とともに公式戦初ゴール=1ゴールを目指す実話に基づく物語。

2014年に製作されたドキュ
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.3

『ミツバチのささやき』ビクトル・エリセ監督の31年ぶりの新作。

元映画監督の主人公が、テレビ番組の企画を契機に、失踪した古い友人の足跡を追う。俳優だった友人は、主人公が監督を務める作品の撮影中に姿を
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ドリー・ベルを覚えているかい?(1981年製作の映画)

4.0

1995年のカンヌ国際映画祭でパルムドールも受賞した旧ユーゴスラビア出身のエミール・クリストリッツァ監督の上映企画で鑑賞。

本作品は、1981年に手がけた同監督の長編デビュー作。サラエヴォを舞台とす
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ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

4.1

欧州で注目を浴びる若手監督でかるバス・ドゥヴォス監督の作品を日本初上映。

作品の話ではないが、本作上映を大々的に取り上げたBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下はミニシアターが揃う渋谷エリアでは独自
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.5

ヨルゴス・ランティモス監督の最新作。

アカデミー賞を獲得した『女王陛下のお気に入り』は比較的穏やかな内容だったが、アカデミー賞に多くノミネーションした本作は『ロブスター』『聖なる鹿殺し』に通じる、驚
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サン・セバスチャンへ、ようこそ(2020年製作の映画)

4.0

『カフェ・ソサエティ』以降、ウディ・アレン監督は自身の原点であるNYを舞台にした作品を手がけてきたが、「キャンセル」の流れで再び国外へ。

大学で映画史を教える批評家の主人公が、ウディ・アレン映画の仕
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燈火(ネオン)は消えず/消えゆく燈火(2022年製作の映画)

4.4

香港の夜景を彩ったネオンは建築法等の改正で9割が姿を消したという。ネオン職人の夫を亡くした女性が、彼のやり残したとされる「最後のネオン」の存在を本作は、失われた風景の【記憶】と、職人たちの【想い】を伝>>続きを読む

ペパーミント・キャンディー 4Kレストア(1999年製作の映画)

4.5

『イ・チャンドン レトロエクスペクティヴ4K』にてスクリーン鑑賞。

苦渋と後悔に満ちた男性の人生を逆行する物語。初見から狂気じみた行動と発言を繰り返す主人公。物語の時間軸を順番を逆行することで、男性
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.3

アメリカのインディペンデントで活躍するケリー・ライカート監督の日本初上演作品。西部開拓時代の米国を舞台に一攫千金を狙う男たちの物語、なのだが【金の卵】は盗んだミルクで作ったドーナツというのが面白い。>>続きを読む

ロスト・イン・トランスレーション(2003年製作の映画)

4.5

ル・シネマ渋谷宮下『ゴーストワールド』公開記念の期間限定フィルム上映で鑑賞。

個人的には約18年ぶりの鑑賞。内容が内容だけに忘れている描写も多かったので、物語自体を新鮮に見れた。むしろ本来は存在しな
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

4.2

2001年に公開されたアメリカンティーンズ作品のリバイバル上映企画。

田舎町を舞台に、高校を卒業したばかりの「何者でもない」主人公(と相方)の悪戦苦闘の日々を描く。『レディ・バード』や『ブックスマー
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市子(2023年製作の映画)

4.4

「12月のテアトル新宿」で上映される作品は特別と改めて感じさせる快作。

例えば、同じ失踪事件を題材にしたデヴィッド・フィンチャー監督『ゴーン・ガール』のように、あるタイミングで主観を反転させるアプロ
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.8

ヴィム・ヴェンダース監督の最新作。渋谷区にある公共トイレのリノベーションプロジェクト『TOKYO TOILET』の清掃に従事する男性・平山の日常が綴る物語。

物語を通して描かれる平山のルーティンは大
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.4

フィンランドを代表する映画監督であるアキ・カウリスマキ監督の最新作&引退撤回作。素晴らしい作品でした。

過去作と同様、労働者たちの平穏とは言えない日常に焦点を当てながらも、そこに灯される小さな【希望
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バーナデット ママは行方不明(2019年製作の映画)

4.2

リチャード・リンクレイター監督&ケイト・ブランシェット主演の作品。

予告編等で伝えるポップな雰囲気に見せかけて、メンタルヘルスを題材にした物語に仕上がっていた。挫折による精神的負荷と再起、万国共通の
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マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

4.2

世界的な指揮者、音楽家であるレナード・バーンスタインと、その妻の歩みを描く。

『ウエスト・サイド・ストーリー』等の舞台音楽、テレビ出演といった多岐に渡るマエストロの活躍を伝える伝記映画、ではなく夫婦
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SOMEWHERE(2010年製作の映画)

-

早稲田松竹においてレイトショー鑑賞。映画館で鑑賞するのは初めてだが、何度も見直している作品である。最初に鑑賞したのは20代後半だったが、多くの描写の意味を理解できず、不完全燃焼に終わった記憶がある。3>>続きを読む

ナポレオン(2023年製作の映画)

4.1

リドリー・スコット監督の最新作。同監督らしい映像の質感に、固い表情と狂気を同伴させたホアキン演じるナポレオンが実にハマっていた。

IMAXシアターで鑑賞。マストとは言えないが、VFX+リアルを合わせ
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インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌(2013年製作の映画)

4.0

キネカ大森さんの名画座上映「オスカー・アイザック特集」で鑑賞。大人気で鑑賞した回は満席でした。

1960年代のNYに活動する住所不定のしがないフォークシンガーの物語。2本立ての1本目で鑑賞した『カー
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

4.3

『タクシードライバー』を手がけたポール・シュレイダー(監督・脚本)× マーティン・スコセッシ(製作総指揮)の座組。

各地のカジノを渡り歩くギャンブラーの贖罪と復讐を描く物語。プレイヤーに天国と地獄を
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私がやりました(2023年製作の映画)

4.2

演劇界の有名プロデューサー殺人の容疑をかけられた新人女優が、同居人の女性弁護士の入れ知恵で【悲劇のヒロイン】の座を手に入れようとする物語。

面白かったです。冤罪を題材にした法廷モノを土台に、コメディ
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アダプテーション(2002年製作の映画)

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『POP EYE』映画特集で取り上げた作品。怪作『マルコヴィッチの穴』脚本を手がけた脚本家が、ノンフィクションを原作を題材にした新作脚本の執筆に苦しむ物語。

実際に映画の脚本を手がけたのは主人公=リ
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.0

面白かったです。強度の高いVFXと、時代を生きる個人にフォーカスした脚本で、日本映画における確かな実績を積み上げた山崎貴監督らしいマイナス=「反転」のゴジラ映画だったと思う。

『シン・ゴジラ』は、初
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.4

マーティン・スコセッシ監督の最新作。アメリカ先住民の連続殺人事件を取扱ったノンフィクション小説を原作に持つ物語。仄暗さの印象が強い映像の作り、物語の流れ等、悪党が暗躍する往年のスコセッシ作品らしさを感>>続きを読む

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

4.5

『GODZILLA』『ローグワン』ギャレス・エドワーズ監督の最新作。

個人的に『ローグワン』が、全SW作品の中でもお気に入りの作品だったので本作の予告編を見た時から楽しみにしていた。

【AI vs
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キリエのうた(2023年製作の映画)

4.1

岩井俊二監督の最新作。予告編から連想した主人公=シンガーソングライター(SSW)を追ったドキュメンタリー風の作りではなく、岩井作品ならではの「現代の寓話」とも異なる物語に仕上がっていた。

登場人物の
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アントニオ猪木をさがして(2023年製作の映画)

4.0

学生時代はプロレスばかり見てたので刺さる作品。行動と言動には功罪あれど、今日の日本のプロレス&格闘技のスケールを作り上げたのは間違いなく猪木さんの存在が大きい。

そうした猪木さんが歩んできた道のりを
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