ナイフで人殺しが起こっても、ナイフを作った者の責任が問われることはない。良し悪し両面ある行為は、中立的行為として犯罪を構成しない。よくいわれるように、善悪はそれを用いる者の心の中にある。
一方、大量破>>続きを読む
殺人鬼のような異常者も出てこないし、目に見える超常現象も起こらないが、そこらのホラーよりもよっぽど不気味である。
謎に謎を重ねたうえで、解説もないまま終幕。
オチをあえて見せない演出なので、解釈は観>>続きを読む
「夜明けのすべて」が名作だったので三宅監督過去作も鑑賞。
最新作に負けず劣らず、極めて完成度の高い作品であった。
静かな映画である。
音楽が一切ないだけでなく、スポ根的な、地から這いあがるようなドラ>>続きを読む
「青春18×2」つながりで視聴。
うーん、私には合わなかった。
中山美穂は確かに美しいのだが、校庭を何度も写真に収める無駄に長いシーン等、彼女のイメージビデオを見せられているのかしら?と思えてくる。>>続きを読む
ありがちな恋愛映画だろうと舐めていたが、良い意味で裏切られた。
プロット自体は、よくみられる恋愛モノである(特に邦画で)。主人公・アミの背景が意図的に隠されているように感じたので、たぶん訳アリなんだろ>>続きを読む
GWはざまの平日19時に鑑賞。満員。
東京では、今のところ下北沢(K2)と渋谷(ル・シネマ)のみの上映となっており、関心の高さに比し、上映館の数が釣り合っていない印象(ただシネコンには向いてなさそう)>>続きを読む
オープニングはスタイリッシュでワクワク。タイトルバックも結構イケテル。
ストーリの転機となる交通事故までの流れはよい。問題はそこからである。
荒唐無稽な設定は(まだ)許せる。だが、そこに置かれた人間の>>続きを読む
見逃したと思っていたが有楽町でしぶとく上映していたので、レイトショーで鑑賞。
予告にもあるが、視覚障害の夫のもと、妻を交換するという設定は面白い。
だが、あまりにリアリティがなく、フィクションどころ>>続きを読む
期間限定上映(渋谷1館のみ)。
連日満席が続いていたが、上映終了間際にようやく鑑賞。
ル・シネマにはよく足を運んでいるが、明らかにいつもと客層が違う(~20代と思われる観客がほとんど)。すぐ近くのシネ>>続きを読む
想像を斜め上をいく作品。
邦題とポスターから抱く印象とは大きく違う、良質な大人向けコメディ。最後の最後まで笑わせてもらえた。
よくもまあメンヘラな登場人物ばかり集めたな(子どもたちはまとも)というと>>続きを読む
幼馴染のノラ・ヘソンの恋愛物語。
終始、ヘソンのダメ男っぷりにイライラさせられる。
ノラの移住で離れ離れになった二人は、24年もの歳月を経てようやく再会を果たすのだが、相手への強い思いがあれば、多少の>>続きを読む
ラッパーであるカターの自伝的映画。
戦時下に生を受け、西側への亡命、少年〜青年期の犯罪行為、刑務所での音楽活動を経て、成功を得るまでの過程が描かれる。
「日本に生まれたらそれだけで幸せ」みたいな話>>続きを読む
圧巻。まだまだ映画にできることはあるのだなと思った。万人におすすめはできないが、もう最高に面白かった。
男女、容姿、収入、能力。社会生活のあらゆる側面で我々は格差に直面する。
格差を前提とした資本主>>続きを読む
廃墟と化したホテル内をめぐる中で、そこで過ごした少年時代の記憶をたどる物語である。
過去のエピソードが、突拍子もなく次から次へと映し出される。中には荒唐無稽なもの(死後の世界をめぐるシーンには笑った>>続きを読む
言葉は、相手を、そして自分を理解するためのツールである。
一方で、融通の利かない厄介なシロモノでもある。
うまく表現できずにもどかしい思いをすることもある。
なぜ伝わらないかと相手にイラ立ちを覚える>>続きを読む
この世界が現実に存在することを証明できるか。否である。
では、世界の存在を疑っている自分自身はどうか。自分自身の存在は疑えない。これは正である。
街を歩いているとき、私の背後にちゃんと世界が存在す>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
身震いするような臭すぎるセリフの数々。
ファンタジーかしらと疑うような設定(アカラサマな虐待はさすがに世の中黙ってないでしょとか、他人宛の遺書を勝手に見るとか)。
最後には唐突なクジラバッシャーンで失>>続きを読む
チャーリーとチョコレート工場シリーズといえば、私が小学生くらいの時に原作がめちゃめちゃ流行っていて、私も含め、多くの子どもが手に取っていた。
ティム・バートンの前作も、子どもの頃かなり話題に上がって、>>続きを読む
稀にみる骨太な法廷劇である。実に素晴らしかった。
裁判所で繰り広げられる、まさしく「解剖学」。
象徴的なのは、予告にもあるように、殺したかどうかは重要ではない、ということである。
一般にも広く知られ>>続きを読む
平井堅よろしく「瞳をとじて」がタイトルの本作。
3時間(エル・スールのほぼ倍笑)の長尺。冗長に感じる部分がないではない。
過去作のミツバチのささやき、エル・スールの衝撃にも到底及ばない。
しかし、ビ>>続きを読む
自己と他者は違う。
この埋まらない溝をどう乗り越えるか。
他者を完全に理解することはできない。だた、理解しようと努力することはできる。
避けたいのは、理解される側が「どうせ理解されない」とあきらめる>>続きを読む
ゲイのエディと、レズビアンのアンバーが、恋人のふりをする高校生の友情ドラマ。
恋愛関係を偽装するという意味で、ちょっと重め雰囲気の「彼女が好きなものは」にも通じるものがあるが(*「彼女が・・・」は女>>続きを読む
B級サスペンスホラー。
思ってもみない方向にどんどん話が進んでいくのが小気味よい。
細かいことは考えず、2時間ドラマ的な軽いノリで見るのがよい。
バーバリアン=野蛮人というタイトルが、なんだかよくわか>>続きを読む
何かが起こるわけではない。
いまここにある現実を、自然も人間もそのままに切り取ったのような映像が続く。
移民の男女が偶然に出会い、互いに関心を寄せるまでの過程を丁寧に描く。
エンドロールの見せ方>>続きを読む
ロマンポルノということで身構えていたが、
ちょっとセックスシーン多めな映画という程度で、不快感なく鑑賞可能。
大まかなストーリは、
父との不和が原因でおじさん好きになったヒロインが、恋愛を通じて成長>>続きを読む
ビクトル・エリセ長編2作目。
幾度となく鑑賞しているが、劇場では初。
印象的な光と影の描写。もうオープニングからやられてしまう。
スペインの美しく静かな風景とは裏腹に、ミステリアスな緊張感がつづく>>続きを読む
R-18+はオーバーな気もするが、まあまあなエログロ描写が続く。対照的なのは、絵本のようなファンタジーな世界観。ティムバートンが好きな方におすすめ(できない)
世間から隔絶され抑圧された女性・ベルが>>続きを読む
芸能界へあこがれ→上京→貧乏→風俗、という
ウソみたいなザ・典型人物を主軸に据えながらも
今までにない作品に仕上がっている。傑作である。
構成や編集の巧みさもさることながら、
登場人物の描き方が素晴>>続きを読む
なんなんだこれは・・・というのが正直な感想。
観客にここまで解釈をゆだねる映画も珍しい。
現実なのか虚構なのか、観客に判断がつかない不気味なシーンが続く。
もはやホラー映画と言って差し支えないと思う>>続きを読む
パーフェクトデイズというか、パーフェクトトイレである。
清掃員の仕事ぶりを示すのに、まったく汚れが写らない。これはファンタジーとして見た方が良い。
それに車でカセットとか、コード付きシェーバーとか、も>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
うーん、イマイチ入り込めず。
主人公が人間関係不得意なのはわかる。わかるけど、不器用すぎる。
何度も何度も酒に逃げるシーンがあり、主人公の弱さにイライラ。
好きなことをやり抜く度胸のない、非力の人間>>続きを読む
原作既読。
いかに映像化されているか不安だったが、
実によかった。
話題の原作をもとにした映画は、
重要シーンでもモノローグで説明させて終わり、とか、
ひたすら原作をなぞるだけ、とか、
映像にする価>>続きを読む
ハウスは失っても、ホームは失わない。
自給自足の孤独な暮らし、危険と隣り合わせな日常、
ノマドワーカーなんてヌルい言葉が昔流行っていたけど、実際のノマドな暮らしは、ともすれば死と隣り合わせの過酷なも>>続きを読む
ダイバーシティ、ジェンダー平等、SDGs、言っとけばいいでしょ?的な、軽薄な言葉が世の中に溢れている。誰も反論できない美しい言葉には、ある種の暴力が宿る。
本映画のテーマである[多様性]という言葉に>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
LGBTの権利が十分に認められていなかった、1980年代の美しいイタリアの田舎における、美しい恋愛物語である。
「秘めていれば100年だって続けられる」、わかってはいたものの、秘めごとにする辛さを知>>続きを読む
現代社会のレイシズムに真っ向から疑問を投げかけるのはよいが、あまりにも説教的すぎる。
遠い地からやってきた移民が、民族間の不和を乗り越え、お互いを理解しあう。さらに、夢を求めて新天地へと向かうが、自>>続きを読む