YukiSanoさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ノマドランド(2020年製作の映画)

3.8

アメリカンドリーム崩壊映画の決定版。

家を失ったアメリカの白人が辿り着いた場所は広大な荒野。寒さと闘いながら雄大な自然の中で排泄し、定住を否定する人々が本当に存在する。

帝国という名のエンパイアか
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愛してるって言っておくね(2020年製作の映画)

4.6

ただ涙が止まらなかった。

これは現実なのだという強烈な衝撃。

そしてタイトルの意味。
それは本当に当事者が残した言葉。

なるべく前情報なしで、あらすじも読まずに真っ白な状態で観て欲しい。

12
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ボーダー 二つの世界(2018年製作の映画)

3.8

最近、珍作と呼ばれるものを観たくて手を出したら、見事に美しく狂っていた作品。

獣人にしか見えないヒロインが、他者の嘘を見抜く特殊能力を使って税関で働いていると自分と同じ獣人と出逢って恋する話。

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バクラウ 地図から消された村(2019年製作の映画)

3.8

UFO、生首、カンヌ審査員賞受賞!
の宣伝文句に惹かれて観た。

何も情報が無く見ていれば、SFなのか、社会派なのか、ホラーなのか、西部劇なのかも分からない展開に面食らう。奇想天外な珍作。

実は全部
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隔たる世界の2人(2020年製作の映画)

4.4

手垢が付きまくっているタイムループものというジャンルを黒人差別による射殺問題のメタファーとして描いた短編映画。

主人公の殺され方が、現実にあった射殺事件の模倣となっているので主人公がアフリカ系アメリ
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ミッチェル家とマシンの反乱(2020年製作の映画)

4.1

遊び心と愛に満ち溢れたハチャメチャファミリー映画の決定版。

世界の危機も家族が団結すれば乗り越えられる、というこのコロナ禍に向けた熱いメッセージを感じる。

企画当初はコロナ禍なんて考えてなかったか
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エノーラ・ホームズの事件簿(2020年製作の映画)

3.8

女の子探偵誕生秘話。
でも推理劇ではなくて、冒険活劇。

自由奔放なハチャメチャ女性を描いたフリーバッグの監督が16歳の女の子が世間の荒波と家族の束縛から逃れようとする物語を描いた。非常に可愛らしい話
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はじまりのうた(2013年製作の映画)

3.7

凄くハッピーな気持ちになれる音楽映画。しかしコロナ後に観たので、現在の音楽業界のことを思い、かつての世界としてノスタルジックな気持ちで観てしまった。

あまりに幸せで、あまりに美しい物語なので、202
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ウィッチ(2015年製作の映画)

3.5

地獄の家族映画。
アニャ観たさに鑑賞して大火傷を負ってしまった。

この系統で言うなら「ヘレディタリー」や「ババドック」監督の「ナイチンゲール」などと似ているが、この作品が一番怖くて胸糞悪かった。結構
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好きだった君へ: これからもずっと大好き(2021年製作の映画)

4.0

私のようなアラフォーおっさんでもアメリカの女子高生になった気分を味わえる青春キラキラLOVEストーリー第3弾。

韓国系アメリカンのララ・ジーンはイケメンの彼氏と同じ大学を受けたが自分だけ落ちてしまい
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はちどり(2018年製作の映画)

3.9

世界で一番小さな鳥「はちどり」。

14歳の少女ウニを通して経済成長目覚ましい1994年の韓国社会の実情が浮かび上がる。

多感な時期の繊細や悩みを主演のパク・ジフが殆ど表情のみで演じ切っている。
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ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

4.3

ぶっちゃけ女子トーク映画。とっても下品なのに観終わると凄く上品な物語だと気付く。
青春を放棄してきた女子が卒業式前夜に今までの分を取り返すために夜の大冒険に出る。

レディバードと似た話で出演者もかぶ
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殺人の追憶(2003年製作の映画)

4.0

公開当時から観ようと思って遂に18年後の2021年に鑑賞。既に犯人は特定されていた。故に凄い傑作なのに、監督の意図するところに乗りきれてない自分に絶望する。

だけど、この作品の肝は犯人探しではなく、
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ワンダーウーマン 1984(2020年製作の映画)

4.1

本当に伝えるべきことを、恥ずかしげもなく訴えかけてくる超王道ヒーローもの。
トレバーの言葉で泣いた。

まさに1980年代が帰ってきた映画で牧歌的だった時代の罪と本質を問いただしてくる。まだ夢を信じら
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シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

4.8

青春の卒業式。
エヴァと共に生きた青春が終わりを告げた。14歳の時に始まったアニメが幕を閉じた時に僕は40歳になっていた。

ただ、それだけのことなのに自分の青春が終わったことを理解した。

失望も絶
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ランボー ラスト・ブラッド(2019年製作の映画)

3.3

ランボー 96時間してからのホームアローンでスカイフォール篇

第1作目以降、どんどんストーリーが雑になっていって、ついに最終章はセルフパロディとパクリの集大成のようにも見えるが、中盤のあまりに酷くて
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TENET テネット(2020年製作の映画)

-

傑作と駄作とは紙一重。
という言葉さえも意味をなさないであろう珍作・奇作。

タイムトラベルものが死ぬほど好きなのにコロナ禍のため劇場鑑賞を逃し、Blu-rayで鑑賞したダメSFファンとして思った感想
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透明人間(2019年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

世の女性が社会の中で、どんな見えない敵と戦ってるのか描いたメタファー映画。

古びた古典を超現代的にアップデートし、娯楽映画としても、社会問題映画としても秀逸な時代を代表する作品となった。

ヒロイン
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アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

4.4

夢を「しょうがなく」諦めた全ての人へのプレゼント。

主役になれない人達が隅っこに追いやられて、「主役」を凝視する映画。まさにスポーツ版「桐島、部活やめるってよ」だが、ベクトルは真逆。まるで「スラムダ
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ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

4.3

生きることの意味は何か?

その問いを生前と死後から見つめ直す斬新な傑作。

ピクサーならではのお見事な大人向け人生映画なのだが、もはや仏教などの死生感を巧みに子ども向けに説いてるかのような異次元の語
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ほえる犬は噛まない(2000年製作の映画)

4.0

ノイローゼ気味の男が犬を殺そうとするがある少女と出会い予想の付かない方向へと進む。そこから広がる人間模様が韓国の現実を炙り出しているようだ。

「犬」は何なのか?何の象徴か?

犬を殺そうとする者。
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ナイチンゲール(2019年製作の映画)

4.0

オーストラリアの略奪と陵辱の歴史を、全ての人類の恥として昇華した作品。

白人女性がレイプされ、家族を奪われる所から始まって、その後は入植者達が先住民を蹂躙する様が描かれていく。

胸糞展開の中に神秘
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この世界の(さらにいくつもの)片隅に(2019年製作の映画)

4.8

名作がさらに完璧になって異次元の傑作となった。

前バージョンでは戦争の日常を俯瞰して捉えたような内容だった。しかし原作にあった女性達のパートを増やしたことで、実は戦時下に生きた女性達が何を犠牲にして
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となりのトトロ(1988年製作の映画)

5.0

怪物的名作。
小学生の頃から何回観たのか、いつ観ても衝撃の傑作。

子どもの頃は楽しく観てた。母と手を繋ぎ近くの文化ホールに観に行った思い出。最高に楽しい子ども映画だった。

高校生3年くらいになって
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さらば愛しきアウトロー(2018年製作の映画)

3.8

さらばアメリカンニューシネマ。
さらば70年代。さらば永遠の2枚目。

暗いアメリカンニューシネマの中で、何故か飄々として明るく軽妙な持ち味だったレッドフォード。

子どもの頃に大好きだった「スティン
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search/サーチ(2018年製作の映画)

4.5

低予算アイディア映画の中でも最高の出来。凄すぎて笑った。

PCとは思い出の宝箱であり、闇の隠し場所でもある。そこに残されたあらゆる人生の軌跡を追う。

他人にも覗ける脳内でもあり、共有されることも考
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

4.2

IMAXのような大劇場で観なければいけないものを家のPCで観てしまった後悔が凄い。

しかし、それでも伝わる臨場感。素晴らしい撮影と美術。演技のタイミングと感情の高まり具合の一致が良い。

1カットで
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彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド(2018年製作の映画)

3.5

100年前に生きた人々を現代の技術でカラー補正してフレームレートも滑らかにしたドキュメンタリー。

そうすることによって、遥か昔の他人事ではなく、今そこに生きている人々のように鮮明に心に映る。

それ
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デビルマン(2004年製作の映画)

1.9

伝説のクソ映画をようやく観賞。
はっきり言って思ってた程ではなかった。これより酷い作品はある。

渡邊文樹監督の作品や自主映画祭の方が酷い。

確かに主演が信じられないくらい棒読みだがイケメンなので観
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ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY(2020年製作の映画)

3.4

バイオレンス女子会。
パリピ女子が、スターな彼氏と別れたとたんに落ちぶれて社会から爪弾きにされたため、自立した女になろうと同じように下位カーストに落とされた女子と組んで派手なパーティーをするというスク
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.5

ドラえもんの代わりにヒトラー。
のび太ばりのドジッ子ジョジョが空想のヒトラーと冒険する物語。

そして偏った思想をした全ての人々に送る愛を込めたメッセージでもある。

ナチスの不謹慎な教育と訓練をひた
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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ゲロがミステリーを加速させ、解決法として機能するという斬新な推理もの。探偵ものや推理ものが嫌いな私でも楽しめた快作。

「スターウォーズ 最後のジェダイ」をトリッキーに作りすぎて世界的批判を浴びたライ
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ラストレター(2020年製作の映画)

3.6

岩井俊二のシャイニング。
そして自己模倣映画。過去から脱却出来ない男を描いているが、自分のことではなかろうかと勘ぐってしまう。

かつて90年代の岩井俊二と言えばサブカル映画のカリスマであり、日本映画
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殺さない彼と死なない彼女(2019年製作の映画)

3.7

最後まで観るとタイトルの意味が分かり、泣きそうになる青春物語。

「殺すぞ」が口癖の男と「死にたい」が口癖の女が出逢うことで生まれた影響を知った時に胸が少し苦しくて熱くなる。

二人組の高校生が3組交
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

3.5

大女優3人の演技バトルが面白怖い宮廷愛憎物語。三大女優によるゲロシーンが必ずあるのが何気に凄い。

キューブリックよりも歪んだ広角レンズで権力闘争をする滑稽な上流階級の面々を冷ややかに笑う演出が嫌味で
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クロール ー凶暴領域ー(2019年製作の映画)

3.4

ワニワニパニック映画。
今、タイムリーな大雨洪水映画でもある。

直前に見た「ロストバケーション」は哲学や神話的映画だったが、こちらは力業で押しきる正統派B級映画だった。しかし小細工いっさいなしの潔い
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