yhさんの映画レビュー・感想・評価

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さらば、わが愛/覇王別姫 4K(1993年製作の映画)

4.4

芸術は人の心を動かす大きな力を持っているからこそ、時には強く求められ、利用され、時にはスケープゴートとなり、虐げられ、その中に生きるものは運命や時代の名の下に都合よく、心身を、人生を振り回される。>>続きを読む

Here(2023年製作の映画)

3.9

もう疲れたといってしまいそうになる現代の生活の中ある、偶然の出会い、人とのゆるいつながり、街の端っこの風景が、優しい目線で切り取られ、尊いものに感じられます。

どうってことない気がしていた景色を、物
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ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)

3.7

鑑賞前に「ノスタルジア」と聞いて思い浮かんだ「懐かしさ」「寂しさ」といった言葉とは程遠い、この世の終わりに触れたかのような「絶望」や「諦念」に似たものが、論理的にわかる言葉ではなく、直感的に届く映像表>>続きを読む

ビヨンド・ユートピア 脱北(2023年製作の映画)

4.5

北朝鮮人の生活と脱北の実情が当事者の目線で映し出され、何が起こっているのか本当の意味で理解し、感じられる、万人が観るべき義務教育的作品。

強い情熱がなければどうにもできないが、情熱だけではどうにもで
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ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

4.3

やっぱり夜の街を徘徊するのを観るのはワクワクが止まらないです。お母さんもそうだったのでしょう。

映画は他人の人生のひと時を覗くもので、そこにある苦労や時間の積み重ねは、決して一長一短で理解できるもの
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コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

4.1

等身大ちょい足しの優しさと愛情にただただ心が温まる作品。

寂しさを埋めたいとか、今の生活が崩れるとか考えちゃうけど、それでもこの子に優しくあろうとするのが、目指したい理想の人物像としてグッと心に染み
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ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(1995年製作の映画)

4.5

出身も性別も異なるが、同じ時代に生まれた男女が、人生に対する解釈を共有しながら惹かれあう。

立場の違いがあるからこそ交わらない考えを尊重しつつ、それでも共感できる部分を探し、現代における「持続可能な
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千年女優(2001年製作の映画)

4.4

映画を描く映画として、限りなく真実に近メッセージと、とても洗練された表現に満ちた作品でした。

逆らいがたい世の中の大きな流れの中で、人を想う気持ちは、時代が変わっても、自分にとっても他人にとっても、
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ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

4.1

致死量のヘッドショット、ヌンチャクホームラン、かっけぇカード、懸賞首ラジオ、ドリフトシューティング、轢かれまくり凱旋門、バイクキック、上から銃撃戦、絶望の階段転落、暗黙の意思疎通。

「人の野望は、人
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ナポレオン(2023年製作の映画)

3.9

究極の自己愛が、母国と妻への独占欲ともとれる愛を生み出す様。

異常なまでに人間的な英雄の姿が映し出される中で、英雄というのは自身が作り上げるのではなく、他人の中に作られるのだというのを感じました。
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葬送のカーネーション(2022年製作の映画)

4.0

生と死に縛られて生きるのか、生と死からの解脱に縛られて生きるのか。

好きに過そうとうする無垢なハリメ目線で描かれることで、どちらに転んでも理不尽が待ち受けていそうな物語になっていますが、その先に僅か
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.0

人間にとって友情は、戻るべき場所であると同時に、(運命を)縛るものでもある。鳥にとっての巣や、蜘蛛にとっての網のように。

人種をステレオタイプで描くと思いきや、なところや、モノやカネの豊かさを風刺し
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.2

憎むべき不完全な社会で生きる、愛すべき不完全さを持った人間の話。

理不尽と不確実さに満ちた社会の中で、人の弱さを受け入れて、純粋な愛によって幸せを得られるのか。

不器用さゆえのすれ違いが観る者を物
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グランツーリスモ(2023年製作の映画)

3.9

競い、勝つときの昂りと、車に乗りエンジンをふかし、道を駆け抜けることの喜びが、沸々と湧き上がるレースシーンは必見です。

マシンと一体となったかのような音と映像、臨場感は残しながらもわかりやすさも両立
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.4

各登場人物に然るべき結末が用意されている事を祈りながら観る2時間半はあっという間でした。

意志が弱くある意味純粋な主人公だからこそ、家族への愛と一族の運命との天秤を一身に委ねられ、善と悪の間に揺れ動
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ペパーミント・キャンディー(1999年製作の映画)

4.3

全てを網羅せずに時系列を遡り、余白を作り想像を促す脚本が緻密でお見事すぎます。

しかもいい具合に想像を助けるヒントが散りばめられていて、小さな腑に落ち感が連続する。結果として見続けずにはいられなくな
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最後まで行く(2023年製作の映画)

3.6

主人公2人の「マズさ」「ヤバさ」のテンプレ過剰演出は気になりましたが、終盤にかけて「展開」に振り回されボロボロになる2人を見て清々しさすら感じ、応援したくなりました。

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.0

煩雑な人生を送る私たちにとって、シンプルだからこそ間近にある幸福を見失わない主人公の生き方が、徐々に魅力的に感じられます。

現代社会でこの生き方は必ずしもメインストリームではないからこそ、良い意味で
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イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

4.2

いかに人をスマートに殺すかに懸けた9秒。クールに、断末魔のように唸る音楽の後に、恐ろしいほどに落ち着き払ったデンゼル・ワシントン。

この時点で5万点が出ました。ありがとうございます。

守るもべき大
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アンダーカレント(2023年製作の映画)

4.0

心地良い嘘ではなく、不都合に感じられても真実こそが、人間関係に本当の意味での和をもたらすのではないかという示唆。

嘘が積みかねられた成りの果てから始まり、過去と共に真実が紐解かれ、未来が切り拓かれて
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ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)

3.9

地面を意識しながら、夢をみる。作中で説明されるコンテンポラリーダンスのような作品。

決められた成功を目指すのもいいけど、自身の今を表現することも、人生の醍醐味なのだと感じさせてくれます。

作品全体
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.0

一回立ち止まって、流されずに人生について考えよ、私は最悪でもいいじゃん。みたいな作品。

花様年華 4Kレストア版(2000年製作の映画)

4.4

「顔を見せない」時点で勝ち確だったのですが、「ロールプレイ」で優勝の運びとなりました。そして「口紅」使せたら世界一です。

どれも2人の一線を引く関係性をハイパーオシャレに切り取る演出で感嘆しまくりで
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タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)

4.5

多様な宗教や人種や家庭環境の人が混ざり合って過ごし、異なる慣習や価値観が隣り合わせにある多様性の象徴のような土地。

そこで必然的に生まれる摩擦を人がどう受け入れながら生きていくか。

そういう社会的
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モガディシュ 脱出までの14日間(2021年製作の映画)

3.8

問題は政治・外交ではなく人にあることを示す食事シーンとラストシーンがとにかく本質的で良かったです。

政治・外交の在り方がどう人の意識に落とし込まれているかが、緊張感と皮肉たっぷりかつ情緒的に描かれて
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なまず(2018年製作の映画)

3.7

韓国の若者が人生や世の中に対して持っているであろう、等身大の漠然とした期待や悩みが映し出された作品だと思いました。

(人生や世の中というスケールのでかい言葉を使いましたが、あくまでパーソナルな生活範
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ギルバート・グレイプ(1993年製作の映画)

4.3

人間らしい利己や欲望はありつつも、無理のない思いやりでつながり、飾らない幸せで纏われた人間関係に心が浄化されました。

変な言い方になりますが、結末がどうなろうとこの家族が思いやりで繋がり続ける限りは
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グレイマン(2022年製作の映画)

3.8

マッチョをもってマッチョを制す。マッチョにはマッチョを。悪しきマッチョと善きマッチョ。そんな映画でした。

ありがちだけど間違いない設定、建物爆発&予算爆発のアクションシーン、挑戦しすぎたカメラワーク
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.0

一作目ファン胸熱展開。SWでいうEP7。ミレニアムファルコンばりのF-14。

だけじゃなく今作ならではの胸熱ポイントも。お手本シーンはテンションMAXです。

笑いもよかったなー。「地球」と「お母さ
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ベルファスト(2021年製作の映画)

4.4

歴史上の出来事が人生や生活にどう影響を与えているかをしっかりと個人や家族の視点で描いているのがめちゃくちゃ意義深いです。。そういった点では『この世界の片隅に』と通ずる部分があります。

なおかつ希望を
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モービウス(2022年製作の映画)

4.0

本物のバットマンはこっちだ!と言わんばかりの狭義の正義の誕生譚。

ヴィランを描き諸悪の根源を探る過程をエンタメ化しようとするマーベルの試みはやはり2歩3歩先を行っていると思います。(短絡的に悪がエン
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ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

4.1

すごく丁寧に、省略することなく、フラットに、劇的な脚色もなく、作り手が人物に感情移入しすぎることなく、経緯を描いているのがとてもよいです。

本事件のどの一面が問題として照らされるべきなのか、観客のバ
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地球外少年少女 後編「はじまりの物語」(2022年製作の映画)

3.9

人間が人間らしさの欠陥を埋めるためにAIに頼り始めるという筋書き、

AIに対する制限と不安から解放されることと、人間が安心できるゆりかごから出ることの勇気をシンクロさせて、その先にあるポジティブな未
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クラム(1994年製作の映画)

4.2

芸術作品と見做されるものは往々にして他者の尺度の中で評され論じられ比較されるけども、そこには人ひとりの人生が詰まっていること、

社会的な目線で裁かれる(例えば差別的とされる)言動はあくまでも個人の人
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