グラビティボルト

有頂天家族のグラビティボルトのレビュー・感想・評価

有頂天家族(2013年製作のアニメ)
4.3
「きらびやかな京都に生きる狸妖怪一族の物語」で、一見ほんわかしているのに、「父親が喰い殺されている」という過去が随所で提示されるので、濃厚な死の気配が漂う。
特に、夜の食堂で主人公が罠にハマってしまう11話のシークエンスがお気に入り。
父親似の男に化けた主人公から知り合いの教授(偽)を見たショットが良い。
柵を軽く視界に入れた構図が狸捕縛用の檻と重なって、イヤなフラグを積み立てていく。
ここで罠に嵌まるまでの一連は特に
ヤクザ映画的だなと感じた。

あと、銭湯で壁を隔てて男女の妖怪が会話するシーン、
片方の内面に会話が逸れた瞬間に
「湯船の内側」にカメラが向いたりするの、最高だ。
後、カメラにキャラが近付いたカットを切り返すことで距離の縮まりを表現するのはありがちだけど、このアニメは敢えて同サイズで引いたカットを並べるんだよね。格好良い。