Qちゃん

憂国のモリアーティのQちゃんのレビュー・感想・評価

憂国のモリアーティ(2020年製作のアニメ)
3.5
近年ディズニーもヴィランブームだし、アナザーPOV映画もしばらく流行ってるから、そのうち絶対ドラマ化・映画化されると思っていた、シャーロックホームズの宿敵モリアーティ教授主体の物語が、どこよりも先にまさかの日本の漫画&アニメで出てきたという。日本人、ゴシックなヴィクトリア王朝好きだもんな。

「憂国のモリアーティ」が英語タイトルだと”Moriarty the patriot”なの的確でいいね。日本の漫画は海外進出を前提にしてるからか、この頃英題が秀逸ですな。

大英帝国の身分格差の深刻さ、と言う一見あんまり日本人に馴染みのないテーマを大きく取り上げてるのが面白い。ちょうどヴィクトリア王朝時代ということで、シャーロック ホームズの宿敵で悪の権化のイメージが強すぎるモリアーティを、そんな不毛で腐敗した身分社会に対する世直し斬り込み隊とみなした像が新鮮だしいまっぽくて興味深い。ちゃんと犯罪コンサルタントだし。

ただ、その斬新さ推しで、あえてホームズ正典から外して気を衒った感じでモリアーティやホームズを描こうとしてるのは鼻につく。逆に、イケメンアニメが観たい人には全然問題ない。

テーマにしてるだけあって、甘々だけど、当時の身分格差で生じている確執や立ち振る舞いの違いから服飾や生活様式といった風俗まである程度時代考証しようとはしてある。
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