滝和也

ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日の滝和也のレビュー・感想・評価

5.0
全てはビッグファイア
のために!
世界制覇を企むBF団!
再びの美しい夜のため
迫る大怪球フォーグラー!

それに挑む
国際警察機構!
その中に
運命の少年がいた!
その名は草間大作!

砕け!ジャイアントロボ!
ガオーん!

「ジャイアントロボTHE ANIMATION
 地球が静止する日」

横山光輝大先生が原作であるジャイアントロボを先生のキャラクターを活かしたスターシステムを用い、超絶ロボアニメとして再構築した大傑作。

監督は機動武闘伝Gガンダムの今川監督。その各キャラクターを活かした台詞回し、演出、バトルアクションにおいて素晴らしい外連味を魅せる名監督ですね。縦横無尽にキャラクターを活かし、動かしたこの作品こそ代表作です。

ジャイアントロボの凄まじい重量感。あの鋼で包まれた無骨さ。巨大さを活かした圧倒的な迫力を持って描かれるバトルアクション。そして草間大作とロボを繋ぐ友情と父への愛。ジャイアントロボは父の形見であり、そして父の願いを叶えるために大作に残されしモノ。時計型操縦機でコントロールされ、声門登録により大作しか動かせないんですね。ロボの顔に掴まり、司令を出すその姿が健気で。まだまだ子供の大作少年の成長の物語でもあります。

敵であるキャラクターも父の仇を打つため、世界を破滅させようとするあたり、見事な対比を見せてくれます。大怪球フォーグラーを操る幻夜とジャイアントロボを操る大作、余りに凄まじい遺産を残された二人の葛藤と決意に涙してしまう。

そしてこの二人を中心として対決するBF団と国際警察機構。BF団に十傑集あれば国際警察機構に九大天王あり。その全てのメンバーが横山光輝キャラで描かれてます。主役、脇役構わず配置されてますからね。そのバトルアクションも凄い。

だだ…やはり一番は十傑集の上に立つあの方、3つの下僕を配下に置くあの塔に住んでる方がビッグファイア様ですから。敵です!特撮版ではギロチン帝王と言う異星人でしたが、こちらでは横山光輝作品の超能力者が…(笑)3つの下僕も別名で出ますから。因みに姿を見せませんが国際警察機構のトップはその方のライバルの○ミだそうです(笑)後三国志、水滸伝からキャラクターが多数。その中でも噴射券の太宗さんと衝撃のアルベルトは素晴らしいライバルキャラでこちらもそのストーリーに涙が…。

またアルベルトの娘がサリーちゃんで声も白石冬美さんが当てていて最高です。仮面の忍者 赤影も敵で出てきますし、更に金目教の巨大な神像を操ると言うこちらも特撮マニアにはたまらない展開。素晴らしきフィッツカラルドはあの超能力モノの端役から登場しますが、素晴らしい技を見せます。指パッチンで真空破を出し、人を真っ二つに…(笑)

またヒロインは大作を守るエージェント銀令。この方が幻夜と因縁があり、物語に深く関わるのですが、その声が島本須美様。クラリス、ナウシカでお馴染み。大ファンです。

更にジャイアントロボに対抗するBF団怪ロボット群も全てが横山光輝製(笑)そのレトロなれど素晴らしいデザイン群。オープニングから引き込まれます。あの超名作マーズの六神も出てきますし、鉄人28号の敵も出てくるので、横山光輝の漫画を買い漁った私には堪らなかったですよ。ただやはり、特撮版ジャイアントロボに出た敵、GR2との対決シーンが素晴らしい。水中用に作られた兄弟機から放たれるロケットパンチを耐えきり、放たれる必殺のロケットバズーカのど迫力。大怪球も特撮版ジャイアントロボの敵からのオマージュであり、その存在感や良しでした。

この作品の素晴らしさは音楽にもあります。オリジナルスコアを演奏するのはワルシャワフィルハーモニー管弦楽団。フルオーケストラによる厚みのある素晴らしい音楽。ハリウッド作品にも負けない出来で、物語を盛り上げています。

この作品、仮想で作られたシリーズの中の最終章の一つ手前と言う設定があり、このあとはバベルの籠城と言うストーリーがあるそうです。名監督がなくなり、もう見ることはできません。別の方ではこのクオリティとテンションはもはや期待できないでしょうし…。ただそれでも見たかった…と思えるほど会心の出来の傑作でした。この位骨太で豪快なロボアニメはもう作れないのかなぁ…。
滝和也

滝和也