もちお

メック・カデッツのもちおのレビュー・感想・評価

メック・カデッツ(2023年製作のアニメ)
4.2
次世代王道ロボアニメ
エヴァ以降キャラ萌えアニメの添え物に堕ちたロボアニメ復活の狼煙。
コテコテスーパーロボットアニメを今の技術で再構築。

ロボに意思があるのでバディものでもあるのだが、しっかりと「ロボットアニメ」をやっている。おちこぼれがひょんなことから巻き込まれて日の当たるステージにあげられてしまいなんやかんやで成長していくピクサー系ジュブナイル。よくわからんロボでよくわからん侵略者と戦う古典的スーパーロボットの伝統を受け継ぐ正当後継者。日本ではバズ狙いの逆張りビックリアニメでなければ企画が通らない昨今、こんなにストレートなロボアニメは海外キッズアニメでしかできないでしょう。おなじくコテコテお約束大全だったジーズフレームがこのクオリティなら…。

ポリピクとはいえ海外企画。欧米的価値観ではストレートな萌えキャラは未だ踏み絵の対象だし、ポリコレでルッキズムな文脈もあって日本的なKAWAIIロリコン美少女キャラは望むべくもない。特に「子供が見るもの」という認識がアップデートされていない海外アニメ作品ではヒロインには黒人かちょいブサを使わないと凄まじい勢いでブッ叩かれてしまう。オリビアはまだ頑張ってると思うがRWBYがもっと売れていたのなら…アクスタを売れるデザインだったかなあ。キモいやつが見るキモいものだったアニメをエヴァ以降で儲かるとわかった途端に手のひらギュルンギュルンして世相を上書きした日本と違って、売れればよかろうなのだと何でもありにしないところは良くも悪くも文化のちがうところ。それゆえにキャラの魅力がないッとなるか、はたまた萌えアニメはキモいけどこれなら見やすいとなるかは人それぞれ。

ロボ好きと言えど正直キービジュアルだけで惹かれることはないと思う。それでもロボアニメ好きを自認するなら取り合えず一話だけでも見るべき。絶妙なサイズ感とCGなのに嘘っぽくないモーションでロボの存在感や臨場感、実在感がこれまでのロボものとは全く別次元のシロモノ。トランスフォーマーやパシフィックリムにピンと来なかった人も試す価値ありだと思う。

イラストだけで見るなら正直ダサいと一瞥して切り捨てるしかないデザインなのだが、画面を見ていると全く気にならなくなるというか、いつのまにか彼らの繊細で優しい一挙手一投足に釘付けになってしまっている。

もちろん日本の深夜アニメのような厨二感は無いので健全なディズニーやピクサーなどがイケる人でないと楽しめないとは思われる。それでいてロボアニメも好きよという御仁にとっては比類なき傑作と評されてもおかしくない白眉の出来。

これでキャラやロボが単体でイラストグッズ映えするデザインなら、と思うと…。キャラグッズ市場を舐めているビジネス音痴なのか。神に誓って萌えキャラなぞ認めるものか、という高潔な市民なのか。もうちょっと歩み寄りたいものです。
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