ジーナ

ひろがるスカイ!プリキュアのジーナのレビュー・感想・評価

ひろがるスカイ!プリキュア(2023年製作のアニメ)
3.5
リアルタイムで追った初めてのプリキュア。
とにかくソラましが可愛くて、尊くて、序盤はこりゃ最高のアニメになるかもしれない!と百合豚としてはワクワクしながら見てました。

しかし...

これは酷い。酷すぎる。
キャラクターデザインが素晴らしいだけに脚本や構成の破綻っぷりがあまりにも目に余る。

本作はプリキュアシリーズ20周年記念作品として、新機軸を取り入れた意欲作としてスタートしました。
初めて主人公のイメージカラーが青色になったとか、その主人公が異世界(スカイランド)から地球にやってきた異世界人であるとか、男の子のプリキュアと成人女性のプリキュアが登場するなどなど。
他にもあえて悪役会議(敵キャラクターが秘密基地で作戦会議したりする、よくあるやつ)を廃止したりと、それまでのシリーズと比べると確かに斬新な要素が多数盛り込まれている。

ただ、いわゆる多様性と言えば聞こえはいいのですが、それらの要素が喧嘩してしまっていて整合性・合理性が伴っておらず、とりあえず取り入れました感が拭えていない。

主人公のソラ・ハレワタールちゃんは”ヒーローになりたい”という夢を持っていて、それがひとつのテーマにもなっている。
ひろがるスカイ!プリキュアってタイトルなのも「ひろがる」=「ヒーローガール」 と掛けてあるぐらいなので。
だけど、そんな要素もいつの間にか忘れられていく。
そもそもプリキュアっていわばヒーローな訳で、そこをテーマに掲げるぐらいなら差別化を図る必要があるはず。
そうなれば、例えば毎話毎話異なるゲストキャラクターが何かに困っていたり、敵に狙われたりして、それをソラちゃんがお助けするストーリーがしっくりくると思うんですけど、本作はそんなゲストキャラ回を意図的に避けてるんですよ、プロデューサーだかのインタビューを読むと。
だから結局他の作品と特に差別化されておらず、しかも敵が出てくるまでのストーリーがあまりにも虚無過ぎて、一体何を見せられてたんだ...?と戸惑う回は挙げていったら枚挙にいとまがない。

そんなソラちゃんのパートナーである虹ヶ丘ましろちゃんは、これまた空気キャラでして...
戦闘時もほぼ役に立っていない。
めちゃくちゃ可愛いだけに活躍が少ないのが勿体なく、初期はソラちゃんとの百合を演出する舞台装置となっており、後半は門田さんの改心を促すキャラとして以外は目立っていない。

また、男プリキュアという要素が個人的に嫌でして、それだけならまだしも声優も男だし、その人が中性的な声を演じてるのも嫌悪感を増幅させる。
それに男の子である事を全くと言っていいほど活かせていない。
ストーリー上、いなくても何の問題もないのだ。
例えば男に生まれたけど女の子になりたいって願望があるとかなら楽しめたと思うんですけど、そういうわけでもないし、男というけど実際は人間に化けられる鳥(♂)なんで...
鳥にしてる時点で製作者も日和ってる。

成人のプリキュアも成人である事を活かせたのは運転免許を持っていて運転できるぐらい。
性格はアゲアゲとか言ってるギャルなので精神年齢は子供のまんま。
そんなに大人としてリーダーシップを発揮する訳でもない。

プリキュアに変身できる赤ちゃんとして登場したエルちゃんに関しても、凄くむず痒い思いしかない。
普段は言葉もままならない赤ちゃんだけど変身したらお上品なお嬢様風プリキュアになり、言葉もペラペラ話せるのに変身が解けたら赤ちゃんに戻ってしまう。
この変身前と変身後が中身もまるで別人で同一人物とはどうしても思えない。
赤ちゃんの時にやらかした過ちを反省する弁を述べる訳でもないし、赤ちゃんに戻ったら戻ったで変身後の記憶が何処まで維持されているのも描かれない。
それが物凄くモヤモヤしてしまう。
(でもマジェスティはめっちゃ好き。)

更にソラちゃんらがほぼ同じ屋敷と彼女らの住む街ソラシド市のごく一部でしか活動せず、たまーにスカイランドと行き来するだけなので世界観に全くひろがりがない。
これでは、ひろがらないスカイ!プリキュア状態なのだ。
ソラとましろは晴れて同じ学校に通う事になったものの(異世界人のソラがどうやって住民票もないのに登校出来るようになったかは謎笑)、いつの間にか学校描写は描かれなくなり、2人とも不登校にでもなったのか???と疑問が残る。

敵キャラクターについても悪役会議が廃止された分、各キャラの生い立ちが深堀されず、当初エルちゃんを襲っていた動機もハッキリ明言されず、回によって矛盾が生じたりと意味不明状態。
脚本家同士で意思疎通が取れていないとしか思えず、序盤で伏線を撒いたりもしないので唐突な新ボスキャラの登場に対してもカタルシスがなく、キョトンと置いてけぼりになってしまう。

と、他にも不満を挙げたらキリがないので酷評はここまでにしておきます。

本作はとにかくソラちゃんとましろちゃんが可愛くて、2人のソラましカプ百合が尊くて、何よりも最高なのである。
その2人が百合百合していた7話までは強くオススメします。
てか、僕にとってひろプリは全7話の作品だと思っています。
(でも終盤のダークソラちゃんも可愛すぎてやばい😍😍😍)
なので全体で考えたら駄作レベルなのですけど、3.5という及第点レベルの数字を付けました。

愛猫家の自分としては、次回作わんぷりに期待したい。
(早速また男プリキュアが出てくるといういや〜な噂がありますけどね...)
ジーナ

ジーナ