なかずかい

ひろがるスカイ!プリキュアのなかずかいのレビュー・感想・評価

ひろがるスカイ!プリキュア(2023年製作のアニメ)
3.4
主人公青キュア、男の子プリキュア(鳥の妖精だけど)、成人プリキュア(言うても18歳だけど)、赤ちゃんプリキュア(大分知性はあったみたいだけれど)と挑戦的な要素がちらちら見えたプリキュア20作目。挑戦的な要素が多い割にしつこくプッシュしてこないバランスは良かった。『HUGっと』の多様性アピールは流石にしつこくてウザかったんだよな。
かなりレベルの高いキャラデザにキャラクターの中身も結構良かった。変身バンクの完成度は誰のもかなり良いし。キュアスカイの変身バンクのウインクがね、何度見てもいいんだよ。おまけに超大傑作『プリキュアオールスターズF』で大いに盛り上げてくれたのもありキャラクターへの愛着はそりゃもうどっしりなのだが。

一つの作品として本作を思い返すとなかなか盛り上がりに欠けるというか、なんかパッとしないんだよな。単発回ではいい回も結構あるんだけど。あげはの幼稚園の転園する子の回とかましろと紋田の正体が判明する回とか。
中盤のバッタモンダーが退場以後、スキンヘッドが敵幹部として登場するもこいつの目的がさっぱりわからんためヒーローがテーマのくせに毎回何故戦っているのかがさっぱりわからん時期が長すぎるのだ。スキンヘッド、マジで何の悪さもしないモンスター出してくるだけの人なので。「愛のため」とか言ってたのも嘘でした、ってプリキュアサイドまで騙す必要なかったじゃんと尚の事何がしたいのかよく分からない。まあ敵が現れずとも変身する回なんかは人助けもヒーローの所作だよね、という話になるので良かったとは思う。キュアプリズムがやたら弱くて戦闘で役に立たなくて、なら何ができるのか?というアプローチの運びもまあ良かったとは思う。

一つ、もやもやしたのは赤ちゃんを一緒に戦わせることにましろ以外皆躊躇がないことである。流石に赤ちゃん戦わせちゃダメでしょ。ここはエルちゃんを子育てしていくという番組の構成と噛み合わせの悪さが露見していると言わざるを得ない。こんなんじゃカサレリアのカテジナさんもザンスカールパイロットに志願してしまう。まあ最終回で成長したエルの「エル赤ちゃんだから分からないよ〜」には変な性癖が開花してしまいそうな香りがしたけれども。
あと全体通すとソラも一緒に学校に通っている筈なのに学校描写ある回がかなり少ないから生活感が感じられないという問題もある。イベントこなしてばかりで日常回のようなものがつくづくなかったな。ひろがるスカイ、というタイトルに反して身内の話ばかりでひろがった世界があまり描かれていないように思える。これも居候の鳥人間とか成人キャラとかプリキュアの幅を学外に広げた弊害だよなあ。でも宇宙化け猫がメンバーいたり度々宇宙に行ってた『スタプリ』では生徒会長とか居たのもあってちゃんと学校行事もやってたけどね。
ラスボスもなんだかあっさり倒されたような雰囲気なのでもう少し頑張って欲しかった。ちょっとあっさり気味だけど多大なインパクトを残した『トロピカルージュ』よりあっさりしてた。
キャラクターはつくづく良かったし光る要素も多かっただけに色々と勿体ない作品になった印象。まあでもなんだかんだ『オールスターズF』で劇場にてキュアスカイのバンク見られただけでも感極まったもんです。
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