映画大好きそーやさん

ウマ娘 プリティーダービー Road to the Topの映画大好きそーやさんのレビュー・感想・評価

4.3
挑戦し続ける者たちへ。
TVサイズのアニメを観て泣いたのは、久しぶりかもしれません。
本作は3人のウマ娘を軸に、彼女たちが感情を爆発させながらひた走る様子を実直に描いた、スポ根アニメの傑作です。(ちなみに、ウマ娘シリーズは1期、2期のみ鑑賞済みといった具合です。アプリの方は嗜む程度にしております)
キャラクターの個性はそれぞれ立っていましたし、脚本もよくできていて、作画のクオリティも申し分のないものとなっていました。
これだけの強度の作品を観られたことに感謝しかありませんでした。
キャラクターで言うと、ナリタトップロードに本気で感情移入してしまって、3話のトレーナーの台詞が刺さりに刺さり、電車で観ていたにも関わらず目頭が熱くなっていました。
特筆すべき才能ではなく、その生き様で戦う彼女は負けが続き、もうどうしようもないところまで追い込まれてしまいます。
しかし、それでも尚彼女が彼女でいることを肯定する、彼女だからこその背中の押し方をしてあげるという、あの優しさ、きっと共鳴する思いを抱いた方も多いのではないでしょうか!
どんなに負けても彼女の味方でい続けた人々にも、ベタながらしっかり泣かされてしまいました。
また、軸であった他の2人のウマ娘も過不足のない主役級の描かれ方がなされていたのが印象的で、3人が揃っていたからこそ成立したアニメとして、群像劇ともまた違う強固なドラマ、エモーショナルの脈動が生まれていました。
テイエムオペラオーの確固たる自己をもつ姿も格好良かったですし、妹に囚われたアドマイヤベガがその檻から脱却していく姿も演出と声優の演技も相まって、自然と拍手を送っている自分がいました。
作画に関しては、日常パートとレースパートとの間で凄まじい緩急がついており、全体を通してのメリハリを感じられて非常に良かったです。
日常パートを時間を割いて描いたからこそ、レースパートの迫力が増して見える効果があったかと思います。
話が前後しますが、メインに据えられているのがナリタトップロードということもあって、他2人の1本の作品としての活躍とでも言いましょうか、脚本としてのトピック、引っかかりが少ないように感じられたのだけは少し気になりました。
4話構成であることは大きな枷であったと思いますが、それでもあれだけの密度で3人ともを主役級に描けていたので、もう少し2人の内面にも迫ってほしかったです。
アドマイヤベガの方は妹を絡めた展開が終盤まで引っ張られて大事な要素になっていたので、アドマイヤベガの描写は増やさなくともテイエムオペラオーの方はもっと観たかったといった印象でした。(どうやらこの後に続く史実では、テイエムオペラオーが覇王としての立場を確立させていくようですが……本作の切り取られ方では、その片鱗が匂わされた程度で終わってしまっていました)
とは言っても、作品の根幹を揺るがすほどの欠点という訳でもないので、本作は本作で素晴らしいものだったと胸を張って言うことができます。
YouTubeで無料で観られますから、未鑑賞の方はぜひ観てみて下さい!
前提知識は一切要りません。ただ競馬で活躍した馬の擬人化作品だと言うことさえ分かっていれば大丈夫です!