晴れない空の降らない雨

ふしぎの国 アンフィビア シーズン1の晴れない空の降らない雨のレビュー・感想・評価

4.6
 これもディズニーのTVアニメーション。間違いなく絵面のせいで、他の作品ほど観られていない。タイトル通りヒト族がカエルやイモリなどの両生類の擬人化な上に、ほかの生き物は巨大昆虫(当然だがそれを食べる)、哺乳類も顔だけはハエという始末だからだ。

 でも中身は、同じ異世界ファンタジーで人気の高い『アウルハウス』と比べても引けを取らない面白さ。全体的にコメディ度が高めで笑えるネタが多い。それでいてストーリーもやはり凝っている。アンとスプリグの種族を超えた友情はグッと来るし、1~2シーズンで出会ったキャラたちが最終的に結集していく展開は胸熱だ(そしてそれがアンの人格と行動のおかげというのが)。
 
 また本作の場合、地球から迷い込む人間がひとりではなく、3人の友達である点が『アウルハウス』との違いだ。劇中に彼女ら全員が揃うまでは時間がかかるが、そこからは一筋縄ではいかない展開が待っており、後半における主人公のキャラクターアークを担う。「赦す」とか「償う」ことの難しさ、「違いを受け入れる」といった人間関係のやっかいな側面にも触れていて、序盤からは想像つかないほどキャラクターがリアルに感じられる。
 
 ところで本作の主人公アン・ブーンチョイはタイ人移民の娘であり、作中ではタイ文化がよく紹介される(『アウルハウス』はメキシコ系)。ちょうど最近シーズン1がディズニー+に登録された『ゴースト&モリー』も、主人公の母親がタイ人である。ちょっとしたトレンドなのだろうか?