Qちゃん

映像研には手を出すな!のQちゃんのレビュー・感想・評価

映像研には手を出すな!(2020年製作のアニメ)
4.2
まんまザ・日本製アニメの舞台みたいな街で、ノスタルジックな学生らしさ全開で、モラトリアムを全力で楽しみ、アニメ制作に全てを賭ける3人の女子たちの話。

流石ですね湯浅アニメ。モラトリアムの楽しみを描かせたら日本一、いや、世界一かも。現実には共有される人にしか共有されないだろうはずの、閉じた、しかし当事者たちには途方もないデカい世界観と愉快さを、見事に映像化して観客万人へのワクワクを生み出した作品。主人公たちがインスパイアされたのが明らかに未来少年コナンだったりするので、宮崎駿系アニメが好きな人、おそらく大概の日本人には感覚共有が可能なのでは。

各学生の喋り方や行動などでくどいほど強調されたバンカラ感に、もう学生感覚にそこまで全力で乗り切れない私は、ややわざとらしさというか気だるさというか気恥ずかしさというか、やや醒めた見方と微妙なむず痒さを感じるが、こうした全力で何かに浸って取り組む、青春全開でクリエイティブで清々しい作品自体は好きだ。

これ観て改めて感じたけど、この、後から後から色んなもの付け足された、無駄に複雑で機能性の削がれたような、結果的に謎の都市設計になってる街並みって、やはり長年狭い土地でスクラップアンドビルドと増改築を繰り返す日本の文化が生んだ日常の延長的空想風景およびそれに対する郷愁感だよね。
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