えぬ

ムーブ・トゥ・ヘブン: 私は遺品整理士ですのえぬのレビュー・感想・評価

4.5
2021年に見たドラマの中では自分的にTOP5に入った作品。実力派俳優で揃え、こういう泣かせに来る話はやっぱり韓国は上手。最初の何話かは単発エピソードっぽいのだけど、韓ドラって刑事物や事件物のこういう話の単発ものはあんまり得意でないというか、やっぱり「彼ら自身の物語」になってからの方が、力や熱が込められていて見ごたえがあって格段に面白かった。ただその序盤の話は自分の中ではコールドケースっぽいというか、社会の片隅で矛盾に晒されながらもひっそりと生きていたけど、悲しく力尽き、忘れ去られ埋もれてしまった市井の人の生きざまに光を当ててその死と真実を掘り起こして思いや無念さを昇華させるみたいな流れがすごく似ていると感じる。似てるだけならいいんだけど、残念ながらおのおのエピソードが小粒で「まだ助走です(しょせん他人事な心理的距離が?)」感が強く、序盤だけだとそこまで面白くない(どうしても完成度が高く話として充実しているアメドラと見比べてしまう→見劣りすると感じることになるので)。

映画畑の人が作ったらしくクオリティの高さが素晴らしい。映像もきれいだし、カメラワークも目を見張るほど凝っていて素敵。役者も舌巻くほど上手な人揃いで見ていて心揺さぶられ強く引き込まれては泣かされてしまう。そして一番良かったのが韓ドラで辟易してやまない間接広告がゼロで、せっかくの気分が台無しにされるというふうに無駄に足を引っ張られないこと。製作費が上がれば上がるほど間接広告の嵐・・・みたいになっているドラマには私はもううんざりを通り越していて、金かけて作ってるのにクオリティ毀損してどうするんだよ・・・みたいな矛盾がどうしても受け入れられないタチなので、ただ純粋にひたすら作品の質を追求できる媒体は強いなあと思った。これに慣れてしまうと間接広告だらけなドラマが見れなくなりそうなのがなあ・・・。

イジェフンはやっぱりこういう演じるのが難しい深~い作品を選んだ方がいいと改めて思った。タンジュンサンは才能の塊ですごい!の一言。チジニはまた温かな父親役をぜひともお願いしたいぐらい。
えぬ

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