TakamaruSuzuki

WeCrashed ~スタートアップ狂騒曲~のTakamaruSuzukiのレビュー・感想・評価

4.0
極東島国のスタートアップ業界に端くれながら関わるいち個人、社会変化を生み出すことの難しさを全く異なるレベルながら(だからこそ?)感じる身として、また出る杭を打つ国柄の右倣え教育を15年以上に渡り受けてきた身としてーー社会の常識に中指を立てること、ブラフだろうとホラだろうとビジョンと野心を持つこと、立てた旗に向かって逆風の中を一心不乱に突き進むこと、これらがいかにタフで困難で、また価値があることかというのも多少なりわかるだけに、単純化して「アダム=ニューマンってただのやばいやつじゃん」とも、「WeWorkってただの虚業だったね」とも言えない気持ち。起業家なんて正気でいられないくらいストレスがかかる日々の連続を生きているわけで、ある種のいかがわしさを纏っていないとやってられないのもまた事実だろうし。これだけ大きい失敗(7兆円もの時価総額がわずか4年のうちに消失)ができるのは大きい挑戦をしているからでもあり、関わった人達の人生を考えると手放しで称賛はできないものの、人生オールインしてあそこまでリスクを取れるのはやっぱり半端ないし、また引きで見るとこれら挑戦を産み、促すのが米国スタートアップの生態系の強さなんだろうな、とも思ったり。ニューマン個人はその後新たなスタートアップを立ち上げ、名門中の名門VCであるa16zから過去最高額の資金調達を実現させていて、懐が深いというかなんというか、金になるならなんでもありというか、いずれにせよセカンドチャンスに寛容なところも含めて、やっぱりアメリカすげえ。
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