むぅ

最愛のむぅのレビュー・感想・評価

最愛(2021年製作のドラマ)
4.3
Twitterでは2文字はトレンド入りしない。

いつからだろう。
"面白い"とされるドラマのタイトルは、放送されるとTwitterでトレンド入りするようになったのは。
私自身、気になるドラマの1話目を観た後、Twitterで他の人はどう感じているのか読むようになったのは、わりと最近のこと。

『最愛』
ドラマの宣伝戦略でSNSが一つの要になっている中、敢えての2文字。それはこの物語が"最愛"でしかなかったからなのだと、改めて思わされる最終回だった。

どの映画を観ようかと悩む時、私は"面白そうな物語か"と"扱っているテーマ"が判断基準になる。
映画から学ぶものは多い。

ドラマに関しては"誰が出演しているか"が判断基準になっていた。
けれども、映画をよく観るようになって監督の担うものの大きさを痛感するようになってから、ドラマも"スタッフの座組み"を気にするようになった。

その点で言うと、この『最愛』の座組みは私的には最高だった。
『Nのために』『アンナチュラル』『MIU404』と、どれも毎週楽しみに観ていたドラマのスタッフ陣。信頼感が半端ない。

"誰が犯人か?"
この役者が演じるからには、きっと物語の深いところにかんでいるはず!と、邪道な考察をしながら観たのは2話まで。
それぞれの「最愛」を描く物語なのだと気付き、流れに身を任せて観た。とは言え、"犯人であってくれるなよ!"と願う何人かの言動が気になって仕方なかったのも事実。

「観た?」
職場でも友人とのLINEでも、ネタバレを犯さないよう確認してから
、あーだこーだ言い合う時間がまた楽しかった。

語り部となる"視点人物"がいない。いや、いるにはいるのだが、それぞれが語る時、それは各々の"最愛"を語る時のみ。
全てを知るのは視聴者のみ、という形で幕を閉じた最終回。
それぞれが少しずつ知らずに終わった"真実"こそが、その相手を想う誰かの"最愛"で包まれている。
その"真実"が"最愛"で覆い隠されたことを、隠された側がちゃんと分かっているのがまた切なくて優しい。

"最愛"の人がいることの強さ。
そんな存在がいなかった人物が1人いた。その人に"最愛"の人がいたら、どうなっていただろうと思った。

「えー、ドラマでしょ?」
と鼻を鳴らす友人に、これでもかという本気のプレゼンをした。
「paraviに加入しました。面白いです」
との返信に今年1番のガッツポーズをした。
むぅ

むぅ