こやち

雪国 -SNOW COUNTRY-のこやちのレビュー・感想・評価

雪国 -SNOW COUNTRY-(2022年製作のドラマ)
4.0
川端康成の『雪国』。「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。は誰もが知る冒頭の一文だが、ドラマの始まりはトンネルを徒歩で抜け夏の白昼の世界に向かっていた。あら、あの冒頭は汽車でトンネルを抜けるものだと思っていたけれど、記憶違いだったのか。いや、あの文章は「夜の底が白くなった。信号所に汽車が停まった。」と続くはず。

続くお師匠さんの息子と葉子が乗り合わせていた場面が原作の冒頭。ドラマのスタートは回想なのだが、印象的なシーンだったので誤解する人もいるかも。しかし、雪国がトンネルの向こうの異世界である事を強く印象付ける。

東京の憂鬱な文化人に高橋一生の抑えた演技が似合い、岸辺露伴とかチラと連想。駒子は奈緒の童顔はどうかと思ったが、19、20なら27の奈緒でも行き過ぎか。後半には島村を惑わす妖艶さも見えてくる。
島村、駒子と葉子の謎めいた関係が火事の後の駒子のモノローグで見えてくるのだが、ちょっと親切過ぎる気もした。作者が書かずに仄めかしておいた事を説明するのはどうなんだろう。私もなるほどねぇなどと思った口ではあるが。
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