がらがら

ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男のがらがらのレビュー・感想・評価

4.5
『ゴッドファーザー』好きでもそうでない人にもオススメできるドラマ。

不朽の名作『ゴッドファーザー』制作の裏側をドラマ化。

一応、このドラマの原作にあたる(?)『ザ・ゴッドファーザー』は読んだことがあって、名作映画はその制作の裏側も面白いんだなーと思ってはいた。ただそれにしても、実在する映画の舞台裏を全10話掛けてドラマ化してここまで面白い作品に仕上がるとは思わなかった。めちゃくちゃ面白い。

まずやっぱり『ゴッドファーザー』の舞台裏を知ることができるのがファンとしては嬉しい。映画の名シーンを思い出しながらあそこはこうやって撮られたのか、役者はこんな感じで選ばれたのかと、既に出来上がった映画を観ているからこそ、どう繋がっていくのかワクワクしながら観ることができる。

映画のシーンをドラマでは絶対に映さないのがニクい、完成品があるからこそドラマの役者で表現しても無駄ということもあるだろうけど、この演出のおかげでドラマを観終わった後には映画をもう一度見直したくなる。

また映画を観たことがなくても、単純に映画プロデューサーを主人公にしたお仕事ドラマとして面白い。制作費の調達からマフィアへの対応まで、映画制作でここまでしなきゃいけないのかと驚くほどの問題が次々と発生し、それをアイディアとチームとの協力で解決していく展開が燃える。いまいち何やってるのかイメージが掴みにくい映画プロデューサーの仕事内容を知ることができるのも興味深い。序盤では魅力を感じていなかったキャラクターのドラマもしっかり描かれるから、ラストでは予想外のキャラの動きに感動させられたりとドラマとして本当に出来がいい。

映画未鑑賞の人もドラマを観終わった後、絶対映画を観たくなる。しかもそもそも名作な上にこのドラマで感情移入しまくった状態で映画を観るのだから、必ず映画も楽しめるはず。ドラマの中では実際の映画シーンが一切映らないので、未鑑賞の人にとってはまさしく、初めて完成品を観た主人公達と同じ気持ちで観ることができるのが羨ましい。

映画やアニメなどの作品制作を題材にした作劇の難しいところとして、制作されていく作品が面白くなさそうに見えると、いくら作中で観客に評価させたり賞を取らせたとしても萎えてしまうということがある。けれどこの作品では名作であることが確定しているから説得力があるし、観終わった後に実際に本編を観て確かめることが出来るのがデカい。映画本編が面白いだけでなく、制作の舞台裏すらも面白かった『ゴッドファーザー』だからこそできるドラマ。

役者も良かった。『トップガン マーヴェリック』など最近良い役に恵まれるマイルズ・テラーの良さはもちろん、コッポラ監督を演じるダン・フォグラーの目が子供のようにキラキラしていていちいち可愛い。

悪役的に描かれるけれど、芸術な作品の良さが分からず、分かりやすくウケる映画を求めるラピダスの意見も個人的には否定はできない。自分も正直『チャイナタウン』の良さが分からなかったから……。
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