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KLEO/クレオ シーズン1のbeachboss114のレビュー・感想・評価

KLEO/クレオ シーズン1(2022年製作のドラマ)
5.0
一言で表すなら、東ドイツ版「アメリ・復讐篇」。または、ウェス・アンダーソン版の「キル・ビル vol.0」。いや、オトナになりきれないジェイソン・ボーンかな。

凄腕だけど、精神年齢がちょいと未熟な工作員。うまくいかないときに「アァー!」とか「キィー!」なんて唸る辺りにものすごく親近感。無愛想だけど、どことなく可愛らしい。

クビレのない昭和な肉付きの体型、洗練されていない戦闘術、レトロなデザインと配色のファッションや小物やインテリア。社会主義政権下の東ドイツ独特の垢抜けない香りがSFやファンタジーを感じさせて、シュールな魅力を醸し出している。まさしく写真家マーリア・シュヴァルボヴァーの『FUTURO RETRO』の世界。

シリアスとコメディ、リアルとシュールリアルのバランスも絶妙。ベルリンの壁崩壊という時代設定で、「雇われ人」にすぎない工作員に自我が目覚め、「死」しか扱ってこなかった殺し屋に「生」を扱うきっかけが生まれる最終話は秀逸(シーズン2に続く気配もあるが)。

サブキャラもことごとく魅力的。中でも、伝説の殺し屋がガチな妊婦で、ここ一番で●●するとか、なかなか斬新だったわ。
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