Ayumi

シスターズのAyumiのレビュー・感想・評価

シスターズ(2022年製作のドラマ)
4.0

高評価なのは知りつつ、時間がないので見始めるのをためらっていたシスターズ、ついに完走した。1話ずつ見るとかは無理で、次がとても気になってしまうので、ぜひ時間があるときに見てほしいです。

「若草物語」をゆるく設定に生かしているという体で、ソウルに住む三姉妹の物語。三女のイネの修学旅行代を上の姉2人がまかなおうとするのだが、母親がそのお金を持って逃げてしまう。その冒頭のシーンに心をつかまれてしまった。前借りしながらもなんとか妹の助けになりたいという長女、何かと世話を焼こうとする次女、そしてその愛を重たく感じてしまう三女。感情の描き方が丁寧で、思わず入り込んでしまう。

長女インジュは、経理課の先輩・ファヨンの自殺現場を目撃し、さらに先輩が自分に20億円を残していたことを見つけてしまう。会社の取締役から、横領された残りの700億円の行方を探すことを求められ、インジュはファヨンの死の真相を知るために協力を決める。そして次女のインギョンは、危険を顧みずに市長候補のパク・ジェサンの過去を取材する。

インジュの勤務先の横領事件、土地の再開発、ファヨンの死、ランをめぐるある組織の正体など、次の展開が予想しづらく、ついのめり込んでしまう。背景には、韓国でたびたび起こる汚職、格差、そしてベトナム戦争での補償問題が横たわっている。三姉妹を始め魅力的なキャラクターを作りながら、社会の問題を絡ませて物語を動かしていく、韓国ドラマの底力を感じる。

個人的に好きだったのは、インギョンの正義感が強いところ。能力の高い女性記者ってなにかと「女を使ってネタを取ってくる」みたいに描かれがちだけれど、インギョンは常に正攻法で、悪を追い詰めていく。会社の先輩には下っ端の仕事を割り振られるがめげない。時にはわざと犬に噛まれ、病院のダクトから取材先に会いに行ったりする。インギョンの真っ直ぐさ、賢さ、信念を貫くところがとても好きだった。

ドイル父がジェサンを暗殺しようとしていたときに、インギョンが「報道で追い詰めます」と言っていたのが印象的だった。悪と対峙するときに、法をもって裁くべきか、力をもって裁くべきか。日本の「石子と羽男」にも通じるテーマだと思った。
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