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BEEF/ビーフのbeachboss114のレビュー・感想・評価

BEEF/ビーフ(2023年製作のドラマ)
4.0
バカバカしい設定に大いに引かれる一方で、A24製作って点に一抹の引っかかりを感じていたら、案の定だった。

確かにハッとさせられるセリフもあるし、玉突きでカオスを招く展開に、先が気になって見ざるを得なくなる。でも、決してワクワクはしない。ズルズル付き合わされてしまう感じ。作品としては否定しないが、全体的に陰険なトーンだから、正直、好きじゃない。

ちょっとした思いやりの欠如や軽率なチョンボが連鎖して引きずり込まれる負のスパイラル。根底に流れる「妬み」や「やっかみ」の感情が生々しくて不快。韓国人クリエイターならではなのかも。

笑えそうなんだけどカラッとは笑えない。要するに、作った連中の性格の悪さや僻み根性といったルサンチマンが如実に作品上に吹き出していて不愉快な気分になる。やっぱりA24。

おかげでA24が個人的に合わない理由が明確に分かったのが収穫。要するに、何かと自己中なんだわ。身勝手で、どこまでも自分たちの都合。しゃべりかけてくる距離の近さと、自らの価値観や正義をふりかざす押し付けがましさ。「自分たちにも非があるのは分かってるけど、正しいのは自分たち。それが分からない世間の連中の頭が悪いだけ」みたいなガラスのエリート意識。

とか何とか悪態つきつつ、そこそこ楽しめたのも事実。突出して面白かったのは第9話。クライマックスだから当然なんだけど。続く第10話(最終回)のダルいことダルいこと。やっぱりA24。

ブラックコメディにしては対象との距離が近すぎて、俯瞰の位置まで身を引き切れなかったせいで、アジア版「ファーゴ」になり損ねた印象。

無駄に高学歴なくせに冴えない境遇に忸怩たる思いを抱いているエリート崩れや、野心だけは人一倍あるのに実力や才能に恵まれずスネている自意識過剰なチンピラどもが、しみじみと共感しながら世の中に責任転嫁して鬱憤を晴らすのにもってこいなドラマ。良い意味で(⬅️棒読みで)。
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