成田凌が凄い。ストーリーもありふれた不倫物とは一線を画す。段々先を見るのが怖くなるほど、画面の引力が強かった。
もう戻れない、止まらない。許されないけど、熱い恋の物語…なんてきれい事では済まない、本能の恐ろしさを淡々と描いたドラマだった。止めたくても止まらない。全部壊れてしまうけど、それを選ばざるを得ない。美しいけれど淡々と壊れていく日常は、どんなホラーよりも恐ろしい。
脇を固める俳優も抜かりない。夫役鶴見辰吾の家庭を守る「男の力」は名演だった。
監督は幽霊の出ないホラー「トリハダ」で根強いファンのいる三木康一郎。善良なごく普通の人間の心の中に潜む、一片の毒が閃く瞬間を切りとる力は圧巻だ。ラストまで気が抜けない、緊張感のあるドラマである。
