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インスペクター・リシ ~森の怪奇事件簿~のkitoのレビュー・感想・評価

4.0
とても面白く、一気見してしまった。

インドの山村で起こる不気味な連続殺人事件を敏腕警部と現地警察の男女バディ刑事が捜査するというインド版「X-ファイル」といった雰囲気。

ヴァナラッチという頭にツノの生えたせんとくんの遠い親戚⁈みたいな森の悪霊が暴れていると村人が恐れ慄く。貞子のようにボキボキ、バキバキと関節を曲げながら気持ちの悪い這い方で迫ってくるヴァナラッチのビジュアルはなかなか怖い。少しジャンプスケアもあってドキッとするし。

発光する昆虫が出てきたりと第5話まではこの怪奇事件の展開にワクワクする。第6-8話の中盤は主人公たち三人の訳あり人生が描かれ、急に普通のドラマっぽくなってアレ⁈となる。とりわけ、敏腕警部リシはずっと悩まされていた過去をついに振り払い、新しい一歩を踏み出そうとするーーのだけど実はそのあたりも絡めて第9、10話で伏線が回収される様が見事。「浅見光彦シリーズ」の2時間サスペンスや「相棒」によくある顛末だけど面白かった。

ドラマとはいえ現在のインドの様子が興味深い。主人公リシは日産インフィニティのお高そうなSUVに乗っている。右ハンドルなのはイギリスの植民地支配の名残なのだろう。皆スマホやPCを使いこなし、日本や欧米と少しも変わらない。ただ、まだまだ男尊女卑だし、LGBTQなどもってのほか、というシーンが出てくる。

脚本はしっかりしているし、映像もチープさがなく、森林警備隊員のヒロインは見目麗しくて観やすかった。端々で英語まんまを喋るのはインド会話のリアルなのだろうか⁈

ともあれ、インドのドラマを最後まで観たのは初めてで、映画ではあるけど1995年の「ムトゥ 踊るマハラジャ」で止まっていたインドへの認識を大幅にアップデートしなければと思った。
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