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名もなき毒のABBAッキオのレビュー・感想・評価

名もなき毒(2013年製作のドラマ)
4.0
 2013年TBS全11話。宮部みゆき原作をドラマ化。東野圭吾原作阿部寛主演でドラマ化した「新参者」の後継か、小泉孝太郎主演でテレビドラマとしてはかなり凝った作り。偶然出会った女性(国仲涼子)と結婚することになったが実は大企業会長(平幹二朗)の娘。その主人公が探偵的な仕事に巻き込まれる。宮部みゆきのものとしてはライトかもしれないが、逆に微妙な心理を丁寧に演出していて好感。前半(原作「誰かSomebody」)のヒロイン役の深田恭子も好演だし、室井滋、ムロツヨシなども出ているが、小泉の母役の木野花とか喫茶店のマスターの本田博太郎とか玩具会社の社長(織本順吉)のような脇役の演技が味わい深い。
 前半だけでも良作だが、後半(原作「名もなき毒」)は地上波ミステリーとして驚くほど中身が濃い。江口のりこ演じるストーカー気質の女との対決。真矢みき、杉咲花といった実力派が登場するが江口の怖さは圧倒的。森次晃嗣、大杉漣、烏丸せつ子、でんでん、前田吟など豪華共演陣がどんどん出てくる。最終2回の怒濤の展開と「名もなき毒」に対する考察は深い。
 大杉漣の「今という面倒な世の中で、普通に生きていることはそれだけで立派」という言葉や江口の発する「幸せなんてあっけなく壊れちゃう」という呪詛の言葉が心に沁みる。
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