生姜異物強壮2

ザ・ファーストの生姜異物強壮2のレビュー・感想・評価

ザ・ファースト(2018年製作のドラマ)
3.9
ショーン・ペンが冷静沈着な空軍エリートでNASA教官で、クスリへの逃避と反抗を繰り返す愛娘との確執に苦悩する父親役。20代時分の「がむしゃらな青年」ショーン・ペンから観てきた自分には、その円熟ぶりに35年の隔世感を抱かずにおれない。

作品的には、8話完結のシリーズにしちゃ、設定が重すぎた。基本的にはSFサスペンスではなく、ブラピ『アド・アストラ』のショーン・ペン版?とでも言うべきヒューマンドラマに終始するんだが…。

火星有人探査の初挑戦ミッション、着陸第1号になるハズだった精鋭チームがロケットもろとも吹き飛び全員死亡。急きょ、ペン演じる教官を船長とする「控えチーム5名」がミッション再開を目指すことに。ところが、その5名それぞれに私生活では困難な事情を抱え、迫りくる打上げまでに「乗り越えなければ」ならない課題を人知れず背負う。

そんなんだから、もちろん火星探査までストーリーは行き着かない。ミッション初日が最終話である。

船長だけが娘と和解できたような「完結っちゃー完結」のラストに落ち着くが、あとの4名と、準主役である計画チーフ(最高責任者)の女性の人生についちゃ、まだまだ旅の途中。現在進行形のままで放っぽり出される。

ヒューマンドラマで行くとしても、対象範囲を欲張りすぎなんだよ。

余韻を重んじるコマ割りのストーリー運びだったから、余計に回収できるモノも回収できない。船長と計画チーフのふたつの人生にでも絞っとけば良かったんだ。スペース・ローンチ・システムが死亡事故に帰するなんて衝撃的な出だしながら、よくもまあNASAが快く?全面協力してくれたのに、もったいないコトしてるなあ、って思った。

思春期に母親の入水自殺を間近で目撃してしまい、それがトラウマになって更生できない(船長の)メンヘラ娘を演じた子は、アンナ・ジェイコビー・ヘーロン嬢。

聞き慣れない女優だな、って調べたら、芸歴のワリに出演作品が極端に!少ない。ツイッターも全然放置されてて、どうやって生計立ててんだか、謎に包まれてる。その、本当に数少ない出演作の1本が『コンテイジョン』で、マット・デイモンの娘役。寄宿舎生活するハイスクール生だったのが、母親と弟が感染死して急きょ帰省。隔離された父親とガラス越しに再会する。いやはや、いつも難しい役ばかりをタフにこなしてるね。

たぶん『コンテイジョン』だけなら、二度と思い出すこともなかった。そこは(このドラマを観通した)収穫のひとつかな。