山岡

スタートレック:ディープ・スペース・ナイン シーズン3の山岡のネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

DS9では放送開始当初から惑星連邦とカーデシア政府、ベイジョー政府の三者の関係が物語の主軸に据えられていたが、シーズン3ではガンマ宇宙域を支配するドミニオンの存在感が一気に高まっている。また、カーデシアも一枚岩ではなく、中央司令部と諜報機関オブシディアン・オーダーにより権力闘争が行われている。さらに物語終盤ではロミュラン帝国の諜報機関タル・シアーまで登場し、TOS、TNGを含む3シリーズを見てきた中で最も複雑化したシーズンだった。
基本的にどのエピソードも面白く、各キャラクターの深掘りは進んでおり、個人的に作品世界への愛着はどんどん高まってはいるが、DS9という作品の軸がどうもボヤけているような気もした。

ベストエピソードはEP11・12 「2024年暴動の夜」。
TOS「危険な過去への旅」をはじめスタートレックではタイムスリップものの傑作エピソードが幾つも存在するが、本作はその一つに数えられる内容になっていると思う。
格差社会が広がり、貧民の存在を見て見ぬフリをする金持ち連中、ナチの強制収容所のような酷い世界と高度な情報技術とクラシカルな街並みが調和する未来都市の対比…理想主義な色合いの強いスタートレックの中で異色ともいえるほどダークな表現で現代の格差社会をストレートに風刺したエピソードだと思う。
未来都市のビジュアルや適度にクラシカルなファッションはレトロフューチャー表現としてかなりユニークだし、2024年暴動という架空の歴史的事象も作品世界に深みを与えており、全体的に興味をそそられるエピソードだ。

個人的にはガラックがお気に入りなので、今後も彼の出番が増えることに期待したい。
山岡

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