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初秋のbombsquadsのネタバレレビュー・内容・結末

初秋(2011年製作のドラマ)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

20221103 自分用忘備録
「昭和文芸的な教養」の文脈を借りてはいるが、つまりは「キモい妄想のドラマ化」だった。読者として、井上靖はこういうものは書かないよと苦笑する。小津的なものの借景については、自分は映画史的な教養に乏しくて、見比べてどうこうということは言えないが、解説の部分は興味深かった。画面の美しさも随所で楽しんだ。
「わが母の記」と小津安二郎ということで原田眞人さん。それはそれでいいだろうが、ひどく下世話なキムラ緑子さんとか、品のない旅館の女将とか、父としてアタオカなでんでんさんとか、とかく閉口させられた。製作の都合でやらされたことだろうが、やるなら谷崎か川端ものでやればいいのに。井上ものでやるには世界観の齟齬がどうにも。
役所広司さんさすが。べー子の店での酔態などみせてもらった。が、それをもってしてもこの脚本は救われていない。一生懸命やってはいたが中越さんも困っただろう。

苦笑というより、合掌という感じか。迷わず成仏してもらいたい作品。
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