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火と汐のnorisのレビュー・感想・評価

火と汐(2009年製作のドラマ)
2.9
96年の単発ドラマで、2009年にもドラマ化されているが、そちらは刑事視点だというから、おそらく清張の原作に近いのだろう。本作は南果歩 が演じる、殺される妻に焦点を合わせた脚本が奥行きを出している。32歳だった南のアンニュイ顔が良い存在感なのだ。ちなみに性格異常の夫は神田正輝で、こちらもぴったり。

油壺を出発して三宅島を一周するヨットレースの最中にひそかにヨットを降り、愛人と密会中の妻を殺害しに京都に飛び、再び相模湾のヨットに舞い戻るという離れわざは、かなり突飛なものだが、いくつもの偶然によってそのトリックが明らかになるところに、清張ならではの面白さがある。ろくに捜査せず事件が解決する昨今のドラマとは違い、単なるご都合主義ではないのである。
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