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転校生ナノ シーズン2のseishirowのレビュー・感想・評価

転校生ナノ シーズン2(2021年製作のドラマ)
5.0
ナノちゃんが帰ってきました。
ナノちゃんは謎の存在。方々の高校に転校生として現れ、やがて去ってゆく。

前シリーズは一話完結のSFスリラーでしたが、今シリーズはユリという少女がナノの行く先々に現れることで連続性が出てきます。ちなみに今シリーズはさらにグロいです。高校生達が血まみれで殺したり殺されたりレイプされたりするのはキツいです。
さてこのユリちゃん、てっきり「あるメイドの秘密」の主演プロイ・ソナリンちゃんが演じるのかと思っていたけど、別の女優さんでした。名前はわからないけど美人です。しかし、ナノ役のチチャー・アマータヤクン(キティ)の顔立ちから発せられる雰囲気には到底敵いません。

そしてストーリー達ですが、今回も実際にあった事件をモチーフにしているのでしょうか……第3話、自動車事故を起こし何人も殺した金持ちの娘が「ブレーキが故障していた」と嘘をつき、親は金と権力で無罪を勝ち取るという話の結末はE塚K三の家族に見ていただきたいです。

今回は全8話です。
気になるのはそれしかない話数にもかかわらず、個人への懲罰ではなく、学校の校則などに反旗を翻す、という話が3つもあることです。日本の学校でもたまに話題になりますが、タイにもおかしな、時代錯誤の校則があるのでしょう。いわゆる社会的抑圧…というと違う意味になるのかもですが、とにかくこれが政治的・国家的抑圧に対するデモが各地で行われているタイで変に解釈されて危険なことにならなければよいが、と思います。左翼百年の悲願が爆弾ではなくたったコムチンポ一本で成し遂げられそうな日本とは事情が違います。

それはさておき、その中の1つの話は横暴な上級生に対し、立場が逆転して同じ目に合わせるという、少し他のナノちゃんとは違うやり方なので、あまり上手い構成ではない気がします。

また、今回のナノちゃんは人間的な表情を見せることが多いです。前シリーズでは第8話にあったくらいでした。
主にユリ絡みですが、ユリが母に貧しいながらもスマホをプレゼントするシーンなどです。
それと、再会したユリに「私についてくるとどうなるかわかってるよね」というような意味のことを言います。このセリフは衝撃でした。悪事を働く人の前に突如現れ、罰を下すために時にレイプされたり殺されたりするナノが、それらについて認識を打ち明けているのです。

余談ですが第2話、貞淑な女子教育を行う女子校が共学になり、女教師が「牛乳」という言葉に目くじら立てますが、これはタイ語で牛乳もおっぱいもどちらも「ノム」の一語だからです。

全話紹介はしませんが、プロイ・ソナリンちゃんは最終話にジュンコという役で出ます。また怖い役でした……。

ナノとユリの関係はジュンコも交えてシーズン3に向かうのでしょうか。連続性が出たところでナノの誕生のところまで明かすのでしょうか。謎は謎のままでも良い気がしますが。
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