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チャン・オクチョンのsarahAのレビュー・感想・評価

チャン・オクチョン(2013年製作のドラマ)
3.9
しゃしなんせいき【謝氏南征記】


李朝中期(17世紀)の長編小説。作者金万重。成立年未詳。貴族家庭内の妻妾間の葛藤を描く。地名,人名を中国に借りているが,当時の粛宗王をめぐる宮廷事件をモデルにしてこれを諷諫したものといわれる。原作は婦女子を対象にハングルで書かれ,のち従孫の金春沢が漢文に翻訳して男性知識層にも普及した。17世紀以降に出現する娯楽性と教訓性を兼ねた通俗小説の代表的作品

謝氏南征記(サシナムジョンギ:사씨남정기)とは韓国ドラマ張禧嬪(チャン・ヒビン)やトンイにも出てくる有名な小説。

朝鮮王朝第19代粛宗(スクチョン:숙종)の時代に書かれた。

著者は西浦(ソボ:서포)金萬重(キム・マンジュン:김만중:1637-1692)

※発音はサッシナムジョンギのほうが正しいが、あえてサシとした。

サシナムジョンギ金萬重(キム・マンジュン)は、粛宗(スクチョン:숙종)の中殿であった仁顕王后(イニョンワンフ:인현왕후)を廃位させて張禧嬪(チャン・ヒビン:장희빈)を王妃に迎えることに反対。

そのため、南海島(ナメド:남해도)に流刑となった。 配所でも王の心を改心させようとし、この作品を書いたとされる。

1689年(粛宗15)から作者が亡くなった1692年(粛宗18)の間に書かれたとみられる。



作者は韓国文学は当然ハングルで書かれるべきと主張、漢文小説を排しこの作品を創作した。 (漢文・ハングル・交ぜ書きバージョンの異本がある)

これについては、生六臣のひとりに挙げられ、朝鮮初の小説とされる金鰲新話(クモシナ:금오신화)を著した金時習(キム・シスプ:김시습:1435-1493)、洪吉童伝(ホンギルドンジョン:홍길동전)を著した許筠(ホ・ギュン:허균:1569-1618)に続いて、小説文学に画期的な転機をつくったとされる。

すなわち、小説をさげすんだ当時の風潮に一石を投じ、以後の古代小説の黄金時代をつくった。作中人物中の 劉翰林(ユ・ハンリム)は粛宗(スクチョン)を、妖妾喬氏(キョシ)は張禧嬪(チャン・ヒビン)を 各々に対応させたことで、宮女がこの作品を粛宗に読むようにしむけ悔悟させることにより、仁顕王后(イニョンワンフ)を復位させたというエピソードが伝えられている。

筆写本の他に金萬重(キムマンジュン)の兄・金萬基(キム・マンギ:김만기)の孫の金春澤(キム・チュンテク:김춘택:1670~1717)が漢文で翻訳したものがあって、1914年永豊書館版と17年博文書館版の活版本があり、1955年金敏洙が校註を付けて現代語訳として紹介した。
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