山岡

新スタートレック シーズン4の山岡のネタバレレビュー・内容・結末

新スタートレック シーズン4(1990年製作のドラマ)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

シーズン4。神懸かり的な傑作エピソードを連発したシーズン3後半のテンションを維持しながら良質なエピソードを多数生み出したシーズン。

シーズン4はクリンゴンとウォーフの物語が一つの軸となっている。まず、EP2『戦士の休息』ではウォーフの育ての親を登場させ、ウォーフの子供時代の様子が語られる。EP7 『勇者の名の下に』ではクリンゴンの評議会総裁の座を巡る熾烈な争いが展開され、ウォーフにとって衝撃的な結末が用意されている。ここで、ウォーフの子供も初登場している。シーズン後半ではEP24『裏切りの序曲』でクリンゴンの混迷を丁寧に描いた後、最終話のEP26『クリンゴン帝国の危機(前編)』では内戦が発生。そしてついに、ウォーフが名誉回復を実現する。

これまで、TNGは各話ごとに緩やかな繋がりはあったが、一つの物語を軸に様々なエピソードが紡がれたのは初めての試みであり、一定程度の成功を収めたといえる。シーズン5以降の物語の展開に大きな影響を与えるトライであると思う。

クリンゴン関連以外のエピソードも印象的なものが多い。

まず、シーズン3最終話と連続したEP1『浮遊機械都市ボーグ・後編』。ボーグの改造によりロキュータスとなったピカードの絶望的な姿、そしてピカード不在の中、見事に勝利を収めたクルー達の活躍…シーズン第一話として文句無しの素晴らしい出来栄えである。

そして、クルー達が骨を休めるだけのEP2『戦士の休息』。長編の単なるオマケと位置付けるには勿体ないエピソードで、帰郷したピカードをはじめとしたクルーのバックグラウンドを丁寧に描写しており、作品世界を愛するための補助線となる回である。

EP5『恐怖のワープ・バブル』ではドクタークラッシャーの周りで人が次々に消えていく…というミステリーテイストのエピソード。オチは弱いが見事な語り口に強く引き込まれた。

ベストエピソードはEP15 『ファーストコンタクト』か。○
マルコリア人と地球人のファーストコンタクトがテーマのエピソードだが、前半のほぼ全ての部分を地球人側でなくマルコリア人側の視点で描かれていたのが非常にユニークだった。異なる文化を持つ者たちが互いの立場を理解しながら困難を乗り越えようとする、ポジティブなスタンスもスタートレックらしくて気に入った。

ウォーフとウェスリーの下船は非常に残念だが、エピソードのクオリティは粒揃いで、満足度の高いシーズンだった。
山岡

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