山岡

新スタートレック シーズン5の山岡のネタバレレビュー・内容・結末

新スタートレック シーズン5(1991年製作のドラマ)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ウォーフを主役に据え、クリンゴン帝国の混迷をじっくりと描いたシーズン4から打って変わって、完全に1話完結のスタイルに回帰している。各エピソードのクオリティは平均的に高く、その中には超傑作エピソードも幾つか。

ファンの中ではEP18「恐怖の宇宙連続体」、EP25「超時空惑星カターン」が決定的名作と目されているようだが、個人的にはEP17「両性具有のジェナイ人」に最も感銘を受けた。異性愛が差別されるという、現代の世界と逆転した世界を描くことで、LGBT差別が如何にナンセンスなものかを逆説的に浮き彫りにしたエピソードたが、そこにライカーとソランの擬似的な異性愛の物語というスパイスに加えることで差別心の強い人すらも巻き込む実効性の高い内容となっている。

また、EP23「ボーグ"ナンバー・スリー"」も超傑作だ。S2〜4で別格の存在として登場し、惑星連邦に甚大な被害をもたらした最強の敵、ボーグ。そんな彼らとすら、歩み寄り、分かり合える道を探るエンタープライズクルー…スタートレックの精神の根っこの部分がはっきりと現れた素晴らしいエピソードだ。絵空事のような楽観的な展開でありながら、ボーグへの反感が強いガイナン、ピカードが少しずつ理解を示していく展開により説得力のある内容となっている。

その他、ユダヤ人の歴史的な苦難を連想させるストーリーをちょいワルキャラのロー・ラレンの活躍とともに描いたEP3「流浪のベイジョー人」や、ピカードが金八先生のような役割を演じる「悲しみのアカデミー卒業式」など印象深い秀作が多数。

シーズン最終話がやや弱い気もしたが…全体的に見れば前シーズンに負けず劣らずの内容だったように思える。
山岡

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