伊賀坂のぼる

ただ愛する仲の伊賀坂のぼるのレビュー・感想・評価

ただ愛する仲(2017年製作のドラマ)
4.2
タイトルからはわかりにくいけれど、ただの純愛ドラマでなく、
取り返しがつかない大きな悲劇が起きたあとの鎮魂と再生がテーマで、
そのテーマがすごく丁寧に描かれていて素晴らしかったです。
タイトルの「ただ愛する」は逆説的文言というか、「ただ(クニャン)」とは真逆の重大な経緯がある二人だからこそ、「ただ愛する」と言う姿が美しい、というふうに、一周回っているタイトルです。
少し前の作品だけど今年たまたま見て、好きすぎて一気に2周しました(ヒーリング系韓ドラ大好き。。。)。

過剰にサスペンスフルにしたりせず、ビルの倒壊事件の現場の再開発、慰霊碑の建造の工程が、わりと実直に進んでいく流れが大軸になってます(もちろん小さな事件は次々と起こるんですが)。
その背景の上に、主人公二人とその周囲の人たち(みんな愛すべきところのある人たち)のドラマが載っています。

ジュノ君は『赤い袖先』に続いて見ましたが、このドラマでは野良の子犬のような、ありえないほど可愛くて切ない役(ガンドゥ)が、あまりにもぴったりハマっていてほとんど犯罪的。
ガンドゥのキャラの癒しパワーがすごすぎるのですが、ガンドゥとハルモニ、ガンドゥとサンマンの関係にもめちゃめちゃ泣かされつつ癒されました。とくにハルモニとガンドゥの掛け合いが最高。
ハルモニが亡くなったときのガンドゥの悲嘆やグリーフワークが、ドラマ全体の中で軽い扱いでなく、かなりじっくり描かれているのもすごくよかった!

最後に……いつもラストシーンについての文句が多くてすみませんが、このドラマもラストシーンは自分で再編集したいぐらいだった……最後に歌モノのサントラが流れるのが早すぎるんだよ~!! 最後のガンドゥのモノローグの一言は、この物語のラストとして含蓄のあるセリフなのに、先にサントラが流れ始めるから、それがノイズになってラストの大事なセリフがちゃんと味わえないんですよ!! モノローグが終わるまでは映像だけにしてくれていたら、サントラ流すのはモノローグが終わってからにしてくれていたら、どれほど素晴らしいラストシーンだったか……!
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