JohnConstantine

MEMORY メモリーのJohnConstantineのレビュー・感想・評価

MEMORY メモリー(2022年製作の映画)
4.1

まず本作を語る前に個人的に
①この世界で最も許せないことが児童虐待であること
②高齢者医療に携わっており多くの認知症の患者さんやご家族と接していること
を踏まえると、まさに私にとってうってつけのテーマを扱った作品である。

そして、リーアム・ニーソン、ガイ・ピアース、モニカ・ベルッチとビッグネームの中でも私が特に好きな俳優のうちの3人がメインキャストであるのも、さらにうってつけであると言える。

認知症を患った殺し屋アレックス(リーアム・ニーソン)、児童に対する組織犯罪を追うFBI捜査官セラ(ガイ・ピアース)、リンダ(タジ・アトウォル)、ウーゴ(ハロルド・トレス)。
それぞれに児童への犯罪に対する想いを抱え強い信念を曲げない。

リーアム・ニーソンは認知症による記憶障害に苦しむ、ともすればみっともなくも見える、老人然としたあたふたとした姿を上手く演じている。
軽度認知障害が出ている状態を「まだら」と表現するが、まさにその状態と困惑ぶりが、これまでの彼の作品におけるヒーロー像とはひと味もふた味も違う。
思い通りに行かないことに対する戸惑いと、それでもプロとしてスイッチの入った仕事ぶりとが同居していて、格好悪いが格好良い、そんなキャラクターであった。

そしてガイ・ピアースはやや長めの髪を撫で付けて髭をたくわえ、チェックのシャツにブラウンのレザージャケットと、70年代映画の刑事のような風貌。最初は僅かながら違和感があるものの、見ているうちに非常に良いキャラクターとして馴染んでくる。

そしてセラの同僚であるリンダとウーゴ。
リンダは飾り気のない美しさに勝ち気で陽気な雰囲気を醸し出し、ウーゴは強い信念を感じさせる眼差しと面構えが印象的で、セラ捜査官の脇を固めるチームのメンバーとして申し分ないだろう。

特に、ウーゴが純潔を司る聖イネスのメダルを6枚、ネックレスとして身に着けている理由を話すシーンにはグッと引き込まれる。
本作はこのハロルド・トレス演じるウーゴがいるのといないのとでは随分印象が変わったのではないだろうか。
私はこのキャラクターに惚れ込んでしまった。


劇中、フアレスでの少女の失踪事件についての話も出てくるが、これについて扱ったジェニファー・ロペス主演の「ボーダータウン 報道されない殺人者」もあわせて鑑賞してみるのも良いかもしれない。


とにかく、好きな俳優、惚れ込むキャラクター、私にとっては深く突き刺さるような二大テーマを扱った作品で、非常に心に残る作品となった。

当然ながら好みもあるだろうし、脚本もやや甘いところはあるかもしれない。
しかしながらFilmarksにおいてもまずまずの評価であり、誰が見ても一定以上楽しめる作品だと思う。
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