Yoshishun

ハリウッド・コレクション:想い出のイングリッド・バーグマンのYoshishunのレビュー・感想・評価

4.0
名優たちの生涯を綴ったドキュメンタリー“ハリウッドコレクション”の1編。
『カサブランカ』で大ブレイクし、アカデミー賞主演女優賞に3度輝いた名女優イングリッド・バーグマン。彼女の栄光と挫折、如何にして大女優として愛されるに至ったかを綴る。

恥ずかしながら、彼女の出演作は『カサブランカ』しか観たことがないが、彼女の役者としての生き方には父の存在が大きかったことが伺える。決して甘いわけではなく、ただ彼女の個性と才能を尊重し伸ばしていく教育に導かれ、ハリウッドを渡ってからも潮流に呑まれることなく自身のやりたい様に振る舞う姿勢はまさにその後の映画人生の大成を裏付けるものだろう。

ところが、たった1度の不倫により、彼女はアメリカンドリームから一気に奈落の底へと叩き落とされてしまう。数多くのファンが理想と異なる彼女の本性に勝手に気が狂い、魔性の女と決めつけ始めたのである。そこから数年間はイタリアで半ば隠居に近い生活を送ることとなる。しかし彼女はイタリアの新鋭ロッセリーニ監督の定番に囚われない、脚本無しでメガホンを撮る独特のスタイルに魅了され、ハリウッドを飛び出しても彼女は独自の路線を突き進んで行ったのである。

1度の大きな挫折から華麗に復活し、あれよあれよとオスカーを手にしてきたバーグマン。難病を患いながらも決して他人に弱みを見せない姿勢、真に演技と向き合い続けた彼女の熱意は確かに輝かしいフィルモグラフィーに刻まれている。他の出演作も順次鑑賞していきたいと思う。
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