Yoshishun

ビーストのYoshishunのレビュー・感想・評価

ビースト(2022年製作の映画)
3.6
イドリス・エルバがどう見ても医師には見えないサバイバルアクション。
アフリカの荒野で孤立状態となってしまった一家の前に、数多の人を喰い殺したモンスターライオンが現れる‥‥
モンスター映画でお馴染みのユニバーサルが今度はライオンを恐怖の対象として描いている。

本作の特徴は、広大なサバンナで、いつ、どこから襲ってくるのかわからない長回しの数々だろう。周囲の異変に気を取られるとどこからともかくライオンが現れ、あっという間に襲われる始末。安全地帯のはずの車内でさえも無惨に窓を破壊され、頼みの綱の無線もそこまで役に立たない。給地に立たされる父は、医師免許以外は特に戦闘経験もない普通の親父。遠方から颯爽と駆けてくる怪物にハラハラしっ放しである。

ただ随所で見殺しにしてしまった母の幻影に囚われるファンタジックな演出がノイズとなっていたり、この手のパニック映画にありがちな子どもが余計なことをする描写にストレスが溜まるばかり。それによって危機的状況が更に加速化するわけだが、わざわざ割れた窓側の席に座る娘の間抜けっぷりが腹立たしい。
また、ラストはあの場で闘う以上結末が読めるのだが、肝心な決着の瞬間はボヤかす始末である。

常に狙われるスリル、訳あり親父の娘たちを守る姿に胸が熱くなるが、ノイズが多過ぎてややストレスフルな作品でもあった。
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