悪魔の毒々クチビル

ベン&ジョディの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

ベン&ジョディ(2022年製作の映画)
4.1
美味いコーヒーは狂犬をも笑顔にする。

土地からの立ち退きに対して抗議運動を起こしていたベンが企業に拉致されてしまい、親友のジョディが探しに行くお話。


ネトフリに最近追加されたインドネシア映画です。
特にあらすじとか見ても「ほー、まぁいつか観てみようかな」くらいの気持ちでしたが、キャスト欄を見たらヤヤン・ルヒアンおるやんけ!って事ですぐ観ました。
で、知らなかったんだけどこれシリーズものなんですね。しかも3作目という。
更に衝撃なのが過去2作は普通にヒューマンドラマっぽいのに対し、今作は何とアクション映画。とは言っても主人公二人は只のバリスタと経営者に過ぎないので終盤以外は大してアクションはないんだけども。
正直この大幅な変貌っぷりをシリーズファンがどう思うかは疑問ではあります。

まぁ個人的にはね、結構良かったです。
ベン&ジョディの友情辺りは過去作で色々あったであろう出来事を全く知らないのでこの際ぶん投げておくとして、ヤヤン・ルヒアンですよ、俺にとって肝心だったのは。
今回はベンを拉致した集団のリーダー、敵役としての出演でした。
まず登場して嬉しかったのは、部下にはガッツリ銃で武装させているのに自分は丸腰だった所。「やっぱり今でもヤヤンにとって銃はファストフードでしかないのか……!」と変わらぬマッドドッグっぷりに思わずニッコリ。
凄腕バリスタのベンが淹れたコーヒーを飲んでヤヤンも思わずニッコリ。

で、中盤ベンとジョディが同じく監禁されていた人達の助けでとある村に逃げ込みます。
そこでリンジャニ&タンボラの武闘派姉妹に出会って、尚且つ実は彼女らの父親も監禁されている事が明らかになった辺りで「あぁ、この二人が最後ヤヤンと闘うんか」と察せます。
ただここまで格闘シーンはほぼ無いような作風だったので、ちょこっと闘ってヤヤン倒すんだろうなぁとそこまで期待はしていなかったんですよね。

ところがどっこい、滅茶苦茶しっかりバトルしてますやん。しかも今回のヤヤン、クッソ強い。
リンジャニの放つ矢を防ぐのに使っていた木の板をそのまま蹴り飛ばして攻撃する出だしから超格好良いじゃないですか。
「ザ・レイド」のイコ・ウワイス&ドニー・アラムジャーコンビ程のスピードはないので、ヤヤンの動きに制限はあれどこの姉妹も充分魅せる動きが出来ていました。少し調べたら他の作品でもアクションこなしているようで。
そんな姉妹を拳で、肘で、手刀で、蹴りで、膝で圧倒していくヤヤンが半端ねぇ。妹を蹴り飛ばした脚をそのまま振り下ろして姉にも攻撃する辺りは流石ですね。
そんな二人のピンチに村のイケメン青年ジャゴも参戦しますが、アジトに侵入するまでは普通に脇役だと思っていたらまさかの動きがキレキレというね。
ヤヤン相手にもナイフバトルで見事な動きでナイフを奪い取りますが、そんなジャゴですら蹴りで制圧する化け物がマッドドッグなのですね。ここの闘いが一番スピード感あって良かったです。
因みにこの間ベンとジョディも敵と素手で闘っていますが、二人とも一般人なので必然的に主人公のバトルシーンが一番ショボい状況になってしまいましたが、まぁそこはしょうがないですね。

そして結局は敵だし倒されるんだろうなと思いきや、ヤヤンさん、全然やられねぇ。三人掛かりでも全然敵わない。
とどめを刺そうとナイフ片手に歩み寄ってくる姿の絶望感が凄いのよ。最高なのよ。
恐らく日本版が出ているヤヤンの出演作の中では「ザ・レイド」シリーズに次いで格好良いアクションしている作品なのでは。

そんな訳でネトフリ加入しているヤヤン・ルヒアンファンには是非とも観て頂きたい作品でした。
まぁ映画自体は物凄く中途半端な終わり方をしていてそれで良いのか?とは思ったけど、想像していたよりも遥かにヤヤンがマッドドッグしていたのでやっぱりそれで良いのだ。