悪魔の毒々クチビル

プラスワンの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

プラスワン(2013年製作の映画)
4.3
残ったのは…?

デカいお家でパーティ中の若者、そこに彼らと全く同じ姿をした人たちが現れ始めるお話。


リメイク版「鮮血の美学」のデニス・イリアディス監督が脚本も務めたSF映画です。
10年くらい前に初めて観た時から個人的にめっちゃ好きなんだけど、フィルマでは評価クソ低いし当時付き合っていた彼女とバイト先の同僚に勧めるも同僚からは「よく分からなかった」と言われ、元カノからは「クソつまらなかった」と言われた可哀想な作品でございます。
まぁ、確かに「これはどうなのよ」って思う部分もあったんだけど、でも好きなのよね~。

設定としては落下した隕石の影響で何故か近くにいた人たちのドッペルゲンガーが誕生するってやつなんだけど、この設定がちょっと変わっていてめっちゃ引き込まれたんですよね。
まずドッペルさんが出てくる前に停電が発生。

その後、自分たちの数十分前にしていた行動を取るドッペルさん登場。

また停電するといなくなる。

そして次の停電後にまた現れる。
みたいな流れなんだけど、面白いのがドッペルさんが出てくる度に30分前の自分、20分前の自分、と時差が縮まっていくんです。
このままだと追い付きやがては追い越されるんじゃないか、と言う恐怖を煽って来てめっちゃワクワクしたんだなぁ。
あと最初はこれに気が付いたのが主人公と友人2人だけで、こっそり何が起きているのか探って行く流れも凄い好みで良かったです。

ただ、この主人公のデヴィッドがクズでここは俺も嫌いな所です。
と言うのも彼にはジルと言うフェンシング部の彼女がいるのですが、大会で応援に来たデヴィッドがジルを倒した対戦相手とキスをしてしまいそれを彼女に目撃されてしまったのです。
ここのシーンは割と唐突というか、元々何の面識も無かったのにデヴィッドがたまたまこの対戦相手と会場でばったり遭遇して、そのまま見つめ合ってキスしていたんですよね。
そんな妖艶な魅力がある感じでもなかったのに、あそこは正直よく分からなかったです。

そんな訳でジルに未練タラタラながらも、自分が完全に悪いから話し掛ける度に一蹴されるデヴィッド。
何とドッペルさんが現れる異常事態に遭遇しながらも、途中からまたジルとヨリを戻そうと単独行動に。
しかしながら皮肉にもこのドッペル事件を利用して、自らの願望の為に歪んでいく展開はこれまた良かった。
クズだなとは思う反面、あの行動自体は理解は出来るっちゃ出来る自分にもちょっとゾッとするよね。

デヴィッドの友人テディ役には「ゾンビワールドへようこそ」や「エスケープ・ルーム」シリーズのローガン・ミラー。
結構好きな俳優で、今作でも「ゾンビワールド~」とほぼ同じ童貞卒業したくて悶々としているマンなんだけど、今回は何と金髪美女とちゃんとヤれちゃいます。やったね!
もう一人の友人アリソン役はスザンヌ・デンジェルとコリーン・デンジェル、双子で演じていて双子ならではの演出もあります。

このままオリジナルに近付いて来るドッペルさん達ですが、そんな時差の縮まりを経たあのドンヨリとしたラストの余韻も良いし、キャラによってはハッピーエンドだったりバッドエンドだったりはたまた全く影響しなかったりと各々違う感情で物語が終わっていくのも好きでした。
人はセカンドチャンスの為にどこまで出来るのか。

設定の斬新さが光るだけでない、一人の男の歪んだ再スタート映画としても非常に楽しめた作品でした。
とは言えここでの平均点がASYLUM作品レベルの低さとなると、「超オススメだから皆観て!!」とは言い難いのか…
面白かったけど。