Yoshishun

映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)のYoshishunのレビュー・感想・評価

3.7
映画ドラえもん42作目は、『コンフィデンスマンJP』『リーガル・ハイ』の古沢良太が脚本を手掛けたオリジナル作品。公開当時、世間では統一教会ばかりが取り沙汰されていたように、人の信仰心、真の平和、人間とロボットの関係性、心がある素晴らしさを問う中々盛り沢山な内容であった。と同時に、オリジナル脚本の割には、終盤の展開が某ゲリオンまんまだったり、ドラえもんらしい解釈を加えながらも決して難しくなり過ぎない範疇に留まっている。

いつものようにのび太が戦犯となり、序盤は敵らしい敵も登場しない日常パートが長く退屈に思える。しかし、夢の理想郷と思われた場所が徐々に人々の心を蝕む地獄であることが露わになっていく辺りから、ホラーにも近い感覚を味わえる。ジャイアン、スネ夫、そしてしずかちゃんの面々が組織の同調圧力に呑まれ、いつしか自然と組織の一員として取り込まれる過程が実に不気味であった。それだけに催眠が解ける手段も強引で、急に説教臭くなり過ぎていったのが非常に惜しい。
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