よしまる

アアルトのよしまるのレビュー・感想・評価

アアルト(2020年製作の映画)
3.7
フィンランドの建築家でありプロダクトデザイナーでもあるアルヴァ・アアルトの生涯を捉えたドキュメンタリー映画。

彼の残した数多くの建築物、家具、照明、器、ファブリックが生まれていく過程にはアアルトの最初の妻アイノと2人めの妻エリッサの存在があり、一人の人間が何百ものデザインを生み出すにはこんなにも多くの試練や支えがあることを教えてくれる。

アアルトはスツールや花瓶をデザインしただけではなく、200にも及ぶ建築物と、そこに収まるための家具を始めとしたプロダクツを生み出したのであり、そのディテールへのこだわりは本編でもしっかり窺い知ることが出来て、まさに眼福な時間。

公開に先駆けて、京都の「インパクトHUB」でトークショーが開催されたので迷わず参加、ヴィルピ・スータリ監督と記念撮影も!(ボクのインスタをご存知の方は写真upしています。)すごくフランクで優しくて美しい方だった😍

この映画は単なる建築家のドキュメンタリーではなく、アイノという伴侶を得て才覚を伸ばしていくアルヴァを描いた、ふたりの愛の物語。

デザイナーには、パートナーによって名作が生まれたり作風が変化したりというのは良くある話。それを垣間見れるのはかなり楽しい。

革新的なモダニズム建築が、こんなにも優しい愛の世界で生み出されたからこそ、自然に寄り添い、人に寄り添うデザインとして昇華したことがとても分かりやすく描かれている。

ここ数年、実在の人物を俳優が演じるタイプの伝記映画が流行っているけれど、これはその真逆の手法。本物のアルヴァとアイノの書簡をベースにした脚本、貴重な本人の映ったフィルムによる構成は、まるでその時代に一緒にいたかのような錯覚を起こすほどに没入して見れて幸福な時間だった。

京都のトークショーでスータリ監督と仲睦まじい姿を披露してくれたイケメンのご主人、マルッティ・スオサロというイケメン俳優さん。ノンクレジットだったと思うけれど、本編の中でアアルトに代わって恋文を読む声を充てているのがこのスオサロさんだそうで、カウリスマキ監督の「枯れ葉」にも出演されている。おー、早く観たいぞー!