みりお

にびさびの巣のみりおのレビュー・感想・評価

にびさびの巣(2022年製作の映画)
3.5
TAMA NEW WAVE一般審査員として鑑賞🌟
※ちなみに今年のTAMA映画祭最優秀新進男優賞は『ビリーバーズ』の磯村勇斗くんでございます✨
そちらもよろしくお願いします!笑

さて本題。
本作は、俳優としても『そんな別れ。』などでいくつもの賞を受賞している岡田深監督の、初監督作品。
これは、喪失と再生の物語。
私も物心ついたときからおじいちゃんおばあちゃんと暮らしてて、でも数年前に実家を出てから、帰るたびに歳月の流れをひしひしと感じるから、この切なさや喪失感がすごくよくわかる。
大好きで、ずっと元気でいてほしくて、でも会うとその老いや別れを直視せざるを得ないから、家族という縁を何よりも愛しているはずなのに、たまにふと「これ以上大事なものを増やしたくない」と思うことがある。
でも常にそこにある帰る場所がありがたくて、でも帰るのが辛くて、でもやっぱりそこは私の帰る場所で…
そんなことを思う自分が冷たくてとても嫌だったけど、誰にもあることなのかと思うと、ふと気持ちが楽になった。
そしてこの、肉親へのなんともうまく言い表せない強い愛情を、たった40分の中でこれほどまでに抉り出す監督に、心から感動してしまった。


【ストーリー】

東京で暮らす晴人は祖母の死をきっかけに変わりゆく人や街、時間の変化に戸惑いを隠せずにいた。
ある日、地元に住む姉の茜から祖母の家の取り壊しの連絡が入る。
そしてその内容には祖母からの遺言が書き綴られていた。
変わらずあると思っていた場所、変わるはずがないと信じていたもの、家に染み付く記憶とそして姉の嘘……。巣立った燕はまだ子供のまま、帰る場所を探していく。


【監督からのメッセージ】

俳優を目指す前からあった自分の空想が成長過程で得た知識を含み、作品になりました。人の記憶は「映像」として残るのか「写真」のように頭に残るのか、また自分自身を俯瞰的に見ている記憶の正体はなんなのか。脚本・演出そして映像と音楽、俳優の表現力を借りて向き合うことができました。自分の答えは出たと思います。ここからは観てくださる方を通して作品の行く末を見守りたいと思います。
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