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怪物のmayのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
3.8
是枝裕和監督、坂元祐二脚本、そしてこれが遺作となる坂本龍一による音楽の今作をとても楽しみに映画館に行った。

見終わった感は、少し黒澤明の「羅生門」の様でもあり、吉田大八監督の「桐島部活辞めるってよ」の様でもあった。


見る人の側で、何が真実か見え隠れする。




⭐️早織(安藤さくら)の視点

息子を愛するシングルマザーの早織は、耳に怪我をしたり、担任の先生に殴られたと言う息子の言葉を信じ、学校に真相を確かめに行く。
そこには形ばかりのお詫びをする、担任や校長。一体私は誰と話してるの?とやりきれない想いを募らせる。

⭐️保利(永山瑛太)の視点

着任1年の新米教師。それなりに意欲もあり自分の小学校の頃の夢の作文を生徒に聞かせるなど意欲もある。
学校で早織の息子、湊が暴れて、級友の依里(柊木陽太)の体操服を投げている所を発見、トイレに閉じ込められたり、上履きを隠されたりしている様子を見て、湊が依里をいじめているのではないかと疑念を持つ。

⭐️湊(黒川星矢)の視点

湊が何故保利に殴られたと主張したのか、分からなかった。
いつも依里と遊び、秘密基地を作り、気の合う同級生かと思ったが……。
LGBTへの後ろ暗さが自分への"怪物"と言う思いになったのかな?

見る側の立場によって、真実が変わっていく。本当の"真実'.とは何なんだろう?

私達は自分が持っている何気ない当たり前を物差しにして、色々な人を"怪物"にしていないか。

そしてまた、違う人の物差しで見れば、私こそが"怪物"だったりするのかも知れない。


安藤さくら、永山瑛太、田中裕子の演技は勿論の安定感。
2人の子役の演技が素晴らしかった。特に柊木陽太君にはあどけなさと切なさが感じられ、凄いなぁと思った。

だけれど4点止まり。私は"海街ダイアリー""そして父になる。""歩いても歩いても"なんかの方が好きかなぁ?
 
坂本龍一遺作の本作。音楽も素晴らしかった。
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