もと

劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiODのもとのレビュー・感想・評価

1.5
DAY1を鑑賞。
2次元ライブって、2次元アイドルってなんだろう、と考えさせられた映画でした。

自分は初期の頃からのアイドリッシュセブンのファンで、コンテンツが2次元に留まらない、現実に存在するアイドルを目指しているところに共感し応援していた。
今回の映画もこれまでの数々の挑戦のように、コンテンツの持つビジョンを体現したような映画による新しいライブ体験が出来る予感にワクワクしていた。

しかし、蓋を開けてみたら「トップアイドル16人を集めたとは思えない会場と最低限の演出で、推しが歌って踊ってるライブを円盤で鑑賞しているかのような映画」でしかありませんでした。

キャラクターの3DCGは思ったよりも全然良かった。破綻していないし細かいところまでしっかり調整されていて、キャラクターに対して並々ならぬ愛情を持って実在させようと奮闘してくれていることが十分すぎるほど伝わってきた。

問題は演出の方。
16人の人気アイドルが合同ライブをやるとは思えない狭くて地味な会場、大きなLEDビジョンと階段だけの質素なメインステージと小さいセンターステージのみの簡素すぎるステージ構成。
各曲の演出は基本ビジョンに表示される映像(静止画)の前でただ踊るだけで、センターステージをうまく使ったりフライングなどの派手な演出はほぼなし。
ファンサも基本手を振るだけ、一律的で個性やリアリティもない。
カメラアングルも無難で、臨場感や没入感を特別感じられるものでもなく、現場でライブを見ている感覚は皆無、ただのライブ映像を見てるような客観的で味気ない視点と体験。
曲の繋ぎにも工夫は感じられず、平気で暗転する。
何よりコンセプトがブレまくっている上に演出で表現しきれておらず、世界観にまったく没入できない・・・

これって、2次元ライブアニメーション映画としてやる必要ありますか?

アイドリッシュセブンのコンセプトを貫き「2次元アイドルが現実でライブをする」を実現したかったのだろうけれど、現実のアイドルライブどころか声優キャストライブにも遠く及ばない、ただ推しが踊るところを見れるだけの映像、これが率直な感想です。
3DCG自体は綺麗なのでファンが推しを見るためのライブ映像としては良いです。だけど、それ以上でも以下でもない。
ファンじゃなくてもアイドルのライブに参加するような感覚で観に行けて、何度も足を運びたくなるようなライブアニメーション映画を期待してきましたが、アイナナを知らない友達を誘うのは躊躇するレベルで、アイドルライブとしては見どころがありませんでした。

声優キャストによるライブ、通称ナナライが満を持して開催された折には、キャストの皆さんがキャラクターを演じているにも関わらず、現実にアイドルが私たちの世界に存在しているような感動と衝撃があった。
劇場版アイドリッシュセブンは、限りなく現実的な制約のもとに作られているのに、現実でライブをしているようなリアリティをまったく感じられず、残念でなりません。

2次元アイドルが歌って踊る姿を見ることのできる世界はもうすでに身近にある。
3次元アイドルの高いパフォーマンスや豪華な演出によるライブは毎日のようにどこかで見ることができる。

その狭間で、アイドリッシュセブンは何を目指しているんだろう、そんなことを映画を観ながらずっと考えていました。
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