このレビューはネタバレを含みます
美しい作品。琴線に触れた。
強烈なラストの長回しに、我々は人生を観た。
"スタンダード"な映画作りとはかけ離れたような面白さがあり、むしろ小説のような繊細さ、ドキュメンタリーのようなリアリティを感じた。
この作品は、多くの部分を描かないままにしている。キャラクターたちも物語に重要な役割がありそうでないようで、しかし平山さんという大きな木に留まりに来た大切な存在であった。
自分とはまったく違う世界に住む平山さんの生活に少し寄り添い、傍目には退屈そうな人生がいかに尊くて、一日一日が常に新しい完璧なものであるかを知った。
細かなところまで丁寧に作られていながら、計算していては出会えないような瞬間の揺らぎのようなシーンも数多く詰まった映画である。