Yuki

哀れなるものたちのYukiのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.6
面白かった、そして美しかった。
2時間半くらい?全く長いと思わず。あっという間。
また、誰のレビューも読まないうちに、思ったこと記録していきます。

・まず白黒の世界がまあまあの長さ続くけど、全然物足りなさ感じないのよね。
インテリアもファッションも、白黒でもわかる造作の細かさ、素敵さがあるし、結構グロテスクなシーンもモノクロで緩和されてたり御伽噺みを強めてて良かった。

・幼少期?のベラがかわいいね。妙齢の女性のあの役、他の人なら見てらんなくなりそうなところ、無垢な美しさとチャーミングさを兼ね備えてて良かった。
お皿割るとことか、ゴッドが帰ってきて凄い勢いで抱きつくとことか、巻きついて絵本を聞くとことか、2歳の娘を彷彿とさせた。こんな感じよね。

・リエゾンの、舞踏会の踊り良かった〜
彼女の大きな提灯袖のファッションがどれも素敵。黄色いドレスも、水色のドレスも。結婚式のドレスもおしゃれ。

・最初は冒険を教えてくれる者として、刺激的な存在だったダンカンが、彼女が知的に成長するにつれてどんどん見窄らしくつまらない男になってくるのが、ベラの視点を追体験できてるようだった。
最初はジャンプしよう!とベラが乗り気だったのに、船の上では本が読みたいから、という対比。

・船のシーン何もかも美しかったな。
ハリーと、柔らかい白髪のマダム、両方とも魅力爆発だったね。あの2人が登場人物で1番すきだったかも。最後、皮肉屋ハリーが別れ際にキスされた後の、少し名残惜しそうな眼差しが印象的。

・婚約者の彼の、セリフとか少ないのにその佇まいと表情で、この人は信頼できる。きっとこの人の元にベラは戻ってくるだろう。と思わせる魅力良かったね。
2人で森を散策してたときの血の通った会話も良かった。知性を蓄えたベラに、彼は怖気づくことも上から目線で押さえつけることもない、対等に素直にいるところがいいなと。

・娼婦の館のベラが、不思議と身売りに堕ちた…っていう悲壮感がないんだよな。
彼女の冒険心と実益のための、純粋なひとつの仕事なのよね。
最初はめちゃ化粧下手な彼女が、どんどん自分の美しさを引き立てる素顔に近くなってくのが、彼女の知的な成熟も表しているように思えた。

・ゴッドもまた壮絶な過去があって、彼がやってるある種非道徳な行為に一種納得、共感してしまうストーリー。
最後、愛する娘の隣で終えられて良かった。

・将軍…最後の仕打ちにはおお!ここまでやるか、さすがゴッドの娘…と思ったよ…


他にも見所しかない映画。
映画館で観られてよかった。極彩色の映画体験でした。また観たいなぁ。
Yuki

Yuki