kanaco

名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊のkanacoのレビュー・感想・評価

3.8
アガサ・クリスティ原作の名探偵ポアロシリーズ。美しき水上都市ヴェネツィアが舞台。ハロウィンの日に幽霊屋敷で行った降霊会と怪死事件の真相に挑む ホラー×ミステリー!終盤ポアロが畳みかけるように真実をポンポンと披露していくのは気持ちが良き🥰ホラーの余韻を少しでも残してくれるのも私好み!(140文字)

****以下ネタバレあり&乱雑文****

◆あらすじ◆
第二次世界大戦終戦後のイタリア・水上都市ヴェネツィア。ハロウィンの日。探偵業を引退して隠遁生活を送っていたエルキュール・ポアロは、友人の作家オリヴァに誘われて「子供たちの幽霊が現れる」という噂があるお屋敷で行われる降霊会に参加する。お屋敷の持ち主である有名なオペラ歌手ロウィーナ・ドレイク夫人は亡くした最愛娘アリシアの霊を呼び出して欲しいと願っていた。降霊術は行われるもそのインチキをすぐに暴いたポアロ。しかしその直後、霊媒師の様子が変わりアリシアそっくりの声で叫ぶ。「私は殺された!私は殺された!私は殺された!」降霊会の後まだ解けていない事象の謎を解こうとするポアロだったが、人の仕業とは思われぬ殺人事件が発生し…。果たしてこれは人の仕業か幽霊の仕業か。そして〈アリシアの死〉の真相とは…。

❶有名な名探偵ポアロがヴェネツィアの幽霊屋敷で起きた怪死事件の真相に挑む!

〈ミステリーの女王〉と呼ばれる作家アガサ・クリスティの『ハロウィン・パーティ』が原作だそうです。未読です。ケネス・ブラナー監督・主演の映画エルキュール・ポアロシリーズの第3作目となります。私は『オリエント急行殺人事件』は鑑賞済ですが『ナイル殺人事件』を飛ばして本作を鑑賞…。過去と事件は関連がないので単作として見て問題なしでした。シリーズではありますが一連性は薄く独立している印象です😌

今回の舞台はイタリアの美しき水上都市ヴェネツィア。周囲から求められながらも探偵業を引退して隠遁生活をしていたポアロは、心霊現象を信じ霊の存在を証明できるという友人の女流作家の誘いに乗り、イギリスを離れてヴェネツィアのある屋敷を訪れます。

その屋敷は〈かつてペストが流行した時に屋敷に閉じ込められた子供たちや看護師の幽霊が出る〉という伝説を持つ場所。今の所有者であるオペラ歌手はハロウィンの夜に霊媒師を呼んで降霊会を行い、事故で亡くなった最愛の娘と会話がしたいと願っていました。幽霊も神も信じないポアロはこの降霊会の嘘を暴こうとしますが、そのうちに人の手とは考えられない殺人事件が発生。また降霊会では事故死したはずの娘の霊が霊媒師の声を借りて「私は殺された!」と叫びます。果たしてこれは人の仕業か幽霊の仕業か。ポアロ自身もその怪異の存在を感じながらも、この怪事件の真相に迫っていく…という物語となっています。

❷事件の性質上、ヴェネツィアの風景は意外と映らないけどやっぱり美しい

ヴェネツィアの昼間の街並や風景は明るくて美しく、夜もハロウィンの祭りが行われているためオレンジ色のランプや豪華に空に散る花火、それが映る水面などがやはり美しくヨーロッパの素敵な雰囲気が楽しめます。

ただし、本作の事件はお屋敷の中で展開されるため基本的には終わりと始まり以外は外の風景はお預け。屋敷は立派で確かに幽霊が出そうなヨーロッパ・ゴシックな内装で良い雰囲気ですが、結果的には(犯人を逃がさないために)閉じ込められた状態なので、殺人犯にせよ幽霊にせよ危険な存在と共に過ごす薄暗さと閉塞感、圧迫感があります。そのため事件解決(それは当然する)した後に外に出た時のヴェネツィアの情景は、いっそう晴れやかで美しく感じました😌✨

❸ホラー×ミステリー!ホラーの余韻を少しでも残してくれるのは私好み!

今作はホラー×ミステリー。幽霊屋敷で心霊現象も起きるし殺人事件も起きるしで、皆揃って神経過敏、ストレス過多、色々起こって“てんやわんや”です。ホラー要素はゴシックホラー色が強く、驚かせ方はジャンプスケア頼り。もちろん心霊現象なんて信じない名探偵ポワロは殺人も降霊・心霊現象も真相を解明していきますが迷信・伝説・恐れなど演出そのものはホラー味が強くて私好みでした。

終盤ポアロが畳みかけるように真実をポンポンと披露していくのは気持ちが良かったですし、そのうちで「これだけは本当に科学で解明できないことだったのかも…?」というある程度の余韻や余白を残すスタイルが良かったです。私は謎は解けるけどその中で超自然が1~2割ほど残っているミステリーが一番好きなので本作のテイストは好きでした!

なお、私はストーリーに対するどんでん返しや先読みを挑むのはけっこう好きですが、ことミステリーを鑑賞したり読書したりする時は謎解きや犯人当て・推理は一切せず、その判明後も検証や振り返りも基本的にはしない主義(つまりは考えていないのに気になる箇所がでるほど大雑把なトリックは、よほど気にかかるということになる)。楽しむのはキャラクターの個性や物語の流れ、事件の間の人々の機微や動機や人間関係・ドラマの部分。そのためどんなトリックでもモブキャラと共に「😲な、なんだってー!(なおよく分かってない)」と脳死で驚くタイプ。

だから本作が〈ミステリーとして〉はどうだったのかは正直分からぬところ😂

👻✨🐝「ヴェネツィアが出てくる映画はどれも風景が綺麗ですよね~。一度は行ってみたいなぁと思ってしまいます。ゴンドラとヴェネツィアンガラスくらいしか知識ないですけど…🤔」
kanaco

kanaco