金宮さん

ラブ&ポップの金宮さんのレビュー・感想・評価

ラブ&ポップ(1998年製作の映画)
3.5
村上龍さん台詞のセンスと庵野さん映像のセンスがぶつかり合ってはいるものの、タイムリミット要素を入れることでエンタメ性も確保しており観てて飽きない。

時代性の映像記録がコンセプトにあると思うので会話の自然さが求められるが、受け手側に伝わるレベルで心情表現もしなきゃならない。そのバランスはモノローグの多用で解決した。これは活字でも発揮している村上龍さん得意のテクニックなんですが、悪い意味でのポエティックという臭みを消すことに成功していますね。

モノローグを担当しているのが主演の三輪さんじゃない(まさかの河瀬直美さん)なところもあえてな気がします。映像とちょっと距離が生まれますよね。未来の裕美が振り返ってるのかな、とか勝手に想像しました。

そして際立つのが買う人たちのキモさ。作中では女子高生目線で単なる事象として過ぎ去っていくので、その背景にある社会的病理を色々と想像してしまいます。

今見ると、随所に庵野演出を感じるのも楽しめるポイント。アンバランス的にフォークソングを使うのは相変わらず苦手だなと思いましたが、やたら荘厳にクラシックを使うのは好みだったりします。


ーーーーーーーーー

・エンドロール。「庵野秀明(新人)」に悪いところが出てるが、まあそこも可愛げ。

・渡辺いっけいさんの電話、対面するまで小日向文世さんの声に聞こえました。

・Focusの怪演を感じさせる浅野忠信さんと平常運転の手塚とおるさん。あんなのに連続で会ったらそりゃヘトヘトになります。
金宮さん

金宮さん