彦次郎

もうひとりいるの彦次郎のレビュー・感想・評価

もうひとりいる(2002年製作の映画)
3.3
芸能レポーターがアイドル瑞貴に強引な取材をしたことで語られる怪異譚で廃校でグラビア撮影をしていたアイドル少女3人組瑞貴、摩耶、有香とカメラマン山崎、スタイリスト倉橋、マネージャー井坂、編集者滝本が突如もうひとりの自分に襲われるという筋です。
学校というとトイレに出てくる女の子幽霊や人体模型の化け物やらが想像されますがドッペルゲンガー現象を扱っているのが斬新です。ドッペルゲンガー現象は自分自身の姿を自分で見る幻覚の一種とされていますが海外では見たら死ぬとかいう伝承があるのでそちらから着想を得たものと思われます。怪物的なものを出さないで知り合いの顔が歪んでいくというのはやはり怖いものがあります。
ドッペルゲンガーよりもヤバい人たちがいるのが本作の特徴。キャップにジャケットという居そうでいない姿で執拗かつ陰湿に迫る芸能記者、ロリ映像があるので暴露して闇に落とそうとする下卑た笑みのマネージャー井坂となかなかのクズが揃っていますが本作での最上位は諏訪太郎氏演じる編集者滝本でしょう。「ダイヤの原石でもクズじゃ仕方ねえ」と教室撮影時と矛盾した発言をした後に井坂からロリ映像の件を出されると破顔して「井坂ちゃんこの業界のこと分かってきたじゃん」と述べる様は時代劇の悪代官と遜色ありません。特にフリスクを食べてキマッテいる姿は本作でもトップクラスにヤバい人物という印象を与えてくれました。ナイフを振り回し他の面々を監禁しても、まあこいつならやるだろう的な安心感すらあります。
古臭い映像、アイドル的女子の棒っぽい演技などチープさ全開ですが却って本作の雰囲気に合っている気がしました。初期の『呪怨』のようなイメージ(清水監督が監修しているのもあるでしょうけど)でアイディアも悪くないし何よりサクッとみれる時間が良かったと思います。
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